5:モヤシンズグリード ◆TspHqBVqH9jK[saga]
2014/06/13(金) 22:27:36.13 ID:XCWJTEm4o
気づけば、白よりも白い部屋に立っていた。
いや、部屋と表現していいのかでさえわからなかった。
見渡すばかり白く、また下を見ても上を見ても白かった。
必然的に自分は浮いてるはずなのだが、その感覚さえなかった。
そんな風に混乱していると奥から一人は老人が歩いてきた。
髪は景色のように白く、顔はシミやシワで埋め尽くされているのだが
何故かかっこ悪いと思えず、不思議と立派にさえ見えてしまう。
「あなたは?」
「神」
なに言ってんだこいつ、と思ったが何故か納得してしまった。
まあ、神だからと適当に考えていたら神と名乗る男は口を開いた。
「単刀直入に言おう、超能力というものが欲しくないかね?」
「はあ……」
「信じてないな、まあ無理もない。まあ騙されたと思って答え
明日の朝、本当かどうかを己の目でしかと確かめるが良い」
「何故、僕なんかに? あなたに何の得が?」
「面白そうだから、ついでに主にとって得ばかりという訳ではない。
能力を使うたびに、寿命が一年削れるという重い対価が存在する」
何だそれはバカバカしい、と思ったが僕はふと考えた。
もしも、あの時勉強していたら……
「本当に何でもいいの?」
「もちろん、でも対価は常に同じだぞ」
「じゃ、じゃあ……」
過去をやり直せる能力がほしい、と言おうとして僕は口を噤んだ。
何でもいいのなら、もっと良い能力があるじゃないか。
「過去をやり直した事にする能力が欲しい!」
過去に戻ったところで勉強する気は起らないだろう。
しかし、やり直した事にすれば何もしなくて済む。
自分は何もしなくていいんだ。
「ふふ、面白い奴だ。いいだろう、その願いかなえてやる」
老人がそう言うと、白い空間は黒く染まり僕の意識も闇に呑まれた。
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