6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/17(火) 03:01:00.40 ID:/eWvdN5Bo
科学がどれだけ進歩しようとも人は何かに縋らなくては生きていけないことを神父は知って
いたし、学園都市に住む者であってもそれは同じであることも知っていた。むしろ技術や知識
の拡大によって個人で扱う領域が大きくなれば大きくなるほど、より大きな何かに赦しや導き
を求める人間が多くなっていると神父は感じていた。自分たち宗教家はより大きな何かを神と
呼ぶが、時としてそれは信念や真理などと名を変える。
コツコツと杖を突きながら歩く音が不意に教会に響き渡る。そのままたどたどしく足音は告
解室まで続くと、かちゃりと戸が開く音がして、開かれた扉から光が差し込んだ。神父は目を
開くと告解室を二つに隔てる内壁の中心ほどに付いた木製の網の隙間からチラリと視線を向け
る。逆光で細かなところまではわからなかったが、白髪で華奢な少女のような少年か少年のよ
うな少女が立っていた。
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