2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga sage]
2014/06/17(火) 23:02:24.93 ID:bpx7at7DO
「そっか、それならそれでいいんだけどさあ。
でも、なんかこう、凛が笑顔になったところとか見てみたいな」
「ニコッ」
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2014/06/17(火) 23:02:58.22 ID:bpx7at7DO
「凛ってさ、スタイルもいいし綺麗だし、思い切ってアイドルとか目指してみたら?」
「なんでアイドル?」
「そう、今は偶然絶後のアイドルブームでしょ?きっと凛ならいい所までイケるんじゃないかな」
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga sage]
2014/06/17(火) 23:03:47.19 ID:bpx7at7DO
「あんなの素質があって、魔法使いがいて、素敵な舞台が用意されていて、
それで初めてシンデレラになるんだよ」
「素質はあると思うだけどなー。
ま、凛が今のままでいいって言うならそれもいいのかもしれないけど、
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga sage]
2014/06/17(火) 23:04:23.60 ID:bpx7at7DO
渋谷の街を歩けば至る所に今を時めく765プロの女の子たちの広告。
彼女たちの歌声がイヤホンから流れ出す。
ふと目線を上げると、大型ビジョンに彼女たちの躍動する姿が映し出される。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga sage]
2014/06/17(火) 23:05:30.42 ID:bpx7at7DO
渋谷の街も様変わりしたように思う。
ほんの少し前はもう少し歩きやすい雰囲気だったのに、
今はアイドルプロダクションのスカウトマンが色々な女子に声を掛け、
女の子も誰かに声を掛けられようと着飾り、
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga sage]
2014/06/17(火) 23:06:13.59 ID:bpx7at7DO
私もきっと何かに必死になって向き合っていればそんなことは思わなかったと思う。
でも私にはそんな風に必死になれるものが無い。
人生が楽しく無さそうと思われたのは、
自分が熱量を傾けられるものが無いからそう思われてしまったのだろう。
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga sage]
2014/06/17(火) 23:07:13.17 ID:bpx7at7DO
季節は春。全てが華やかに色づき、何もかもキラキラしている
そんな季節なのに、私の目に映る世界は灰色に染まっていく。
イヤホンから流れる彼女たちの鮮やかな歌声と灰色に見える世界が、
私をどうしようもない日常の泥沼に引き込んでいく。そんな感覚に襲われる。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga sage]
2014/06/17(火) 23:08:05.39 ID:bpx7at7DO
冬に比べればだいぶ日も長くなってきて、
今日はいつもより暖かいから、ふらつくにはいい日。
イヤホンをしているといいことが一つある。
渋谷は声を掛けてくる人が多いから、気付いていないふりをしてやり過ごすことが出来る。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga sage]
2014/06/17(火) 23:08:55.52 ID:bpx7at7DO
渋谷についてから数時間は過ぎただろうか。
なんでこんな街でふらふらしているんだろうかと考えると、
とても無意味な時間を過ごしていることに気付く。
時間を潰すためだけに私は今ここにいて、こうしてふらふらしているのだろうか。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga sage]
2014/06/17(火) 23:09:49.00 ID:bpx7at7DO
私は私を分からないままに、こうして時間を浪費する。
でも、もううんざり。楽しくなんかない。いつもいつもそう思う。
でもそんな退屈な日常から、私は逃げることが来ない。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga sage]
2014/06/17(火) 23:10:28.94 ID:bpx7at7DO
こうして今日が終わり、また明日になり、明日が終わっていく。
それでいいんだと割り切るのに、一体どれぐらいの時間がかかるのだろう。
そしてそんな風に思える日は果たして来るのだろうか。
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