42:1[sage]
2014/06/20(金) 00:06:36.43 ID:u/VSH0sC0
駆逐イ級「……ギギ?」
艦娘(そして私は、初めて深海棲艦を見た)
艦娘(第一印象は魚のバケモノ。小型の漁船ぐらいの大きさはあるそれが、歯をむき出して、目を光らせてこっちを見ていた)
艦娘「うおおおおっ!!!」
艦娘(私の戦いが、始まった)
艦娘(尻尾による打撃で、背中から壁に叩きつけられ)
艦娘(砲撃は直撃こそ避けても、爆風までは避けきれずに傷が次々とついて)
艦娘(噛み付きを避けても、体当たりの質量までは避けきれずにその重量で骨が折れた)
艦娘(反撃の拳を叩き込んでも、鍛錬してきた蹴りを叩き込んでもびくともしない)
艦娘(だが、痛みを感じる度に、一撃を浴びせる度に)
艦娘(戦っているという実感が沸いていた。そう、戦っているという思いが、私を動かしていた)
艦娘(強さではない。戦う事を求めていたのかも知れない)
艦娘(一対一での戦いに、私は時間を忘れた)
艦娘(指が折れて、アバラも折れて、歯も欠けて、腫れ上がった顔で視界もままならなくて)
艦娘(それでも、数体いた中の1体だけ、私は足止めすることに成功していた)
艦娘(そして私は身体を動かし続けていた。その痛みが止められなかった)
艦娘(痛みだ―――痛みだ――――)
艦娘(そこへ――――――)
陸奥「敵艦発見! 全砲門、開け!」
駆逐イ級「ギギ!?」
陸奥「選り取りみどりね。このーっ!」
艦娘(私の宿敵は、駆けつけてきた艦娘の砲撃一発に沈んだ)
艦娘(たった数体の深海棲艦の襲撃は、救助に来た艦娘によってあっさりと撃退されたのだった。同じく数体の艦娘に)
陸奥「……君、大丈夫?」
艦娘(すごい、とか。羨ましい、とか。そういうものでなくて、ただ私が思ったことは――強い、だった)
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