45:1[sage]
2014/06/20(金) 00:11:39.67 ID:u/VSH0sC0
姉「起きろ」
艦娘「…姉ちゃん」
姉「お前、本当に艦娘になりたいのか?」
艦娘「ああ」
姉「いいか、よく聞け。お前にずっと言わなかった…正確には」
姉「本当はお前が見つけ出すものなんだけどな。それでも、艦娘になるには、本当の強さが必要だ」
艦娘「本当の、強さ」
姉「ああ。前にも言った。大切なものを守る強さってのは、一つの一例だ」
姉「本当の強さは、折れない心だ」
艦娘(姉はそう言って、目線を少しだけ伏せた)
姉「私が艦娘をやめた理由は、その心が折れちまった事だよ。辛い事がありすぎた」
姉「いいか、忘れるな。艦娘になるって事は、ただ深海棲艦と戦って、勝って、それで終わりじゃないんだ」
姉「そこにある全てを忘れるな。戦場だけじゃない、全てに関わって、全てに責任があるって事だ」
姉「たとえどんなに辛くても、どんなに痛くても」
姉「艦娘であるなら、決して折れるな。そしてもう一つだ――――やるべき時には躊躇うな。進むべき時に進む事が、強さの条件だ」
艦娘(姉の言葉一つ一つが、重かった)
艦娘(家でダラダラしている姉の姿とは違う、かつて艦娘だった。戦士だった姉の姿)
艦娘(胸に刻み付けた言葉がある)
艦娘(やるべき時には躊躇うな。進むべき時に進む事が、強さの条件)
艦娘(戦う事だけを目的としそうになった私を導いた、本当の強さの言葉だ)
姉「もう皆寝てる。今のうちに行け。荷物と、紹介状、書いてあるから」
艦娘「あ、あんがと」
姉「それともう一つ。もうちょっと女の子らしい言葉遣いにしろ。俺なんて言葉はやめとけ」
姉「仲間からも怖がられちゃ、話にもならないからな」
艦娘「…わかった」
姉「……じゃあな」
艦娘(深夜の、たった一人だけの見送りだった)
艦娘(姉は私の姿が見えなくなるまで、きっと敬礼を続けていただろう。振り返らなくても解ったのだ)
艦娘(艦娘になると決めた。戦士となる事を決めた私に、迷いは無い)
艦娘(そう、折れない心を持って。本当の強さを手にするその日まで)
136Res/159.25 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。