56:1[sage]
2014/06/21(土) 23:21:08.91 ID:0yh0jj9y0
艦娘「はい」
役人「これは明日発表することだが、君は知っておくべきだと思っている」
役人「我が国の宇宙開発計画は無期限中止となる。深海棲艦と戦っている時勢だ、もう一度組織を立て直す余力が無い)
艦娘「え…ちょ、ちょっと待ってください! アメリカでの有人宇宙―――」
役人「我が国の人間でなくても、アメリカが自国でなんとかするだろう。アメリカの計画だ」
艦娘(私にとって、最悪の死刑宣告だった)
艦娘(宇宙開発計画が無期限中止――私の、宇宙への夢が、絶たれた瞬間だった)
艦娘「…ぁ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」
艦娘(その場で人目も憚らずに泣き崩れて、家に戻って、また泣いて)
艦娘(泣いて泣いて、色んな人たちの事を思い出して、子供の頃の夢を思い出して、また泣いて)
艦娘(宇宙だけを夢見ていたから―――その全てが終わったことに気付いて、また泣いて)
艦娘(そして何日も経った頃―――涙も涸れ果てた私は、死体のようになった)
艦娘(同じ夢を掲げた仲間達もいない。支えてくれる人もいない。何よりも夢はもう、終わってしまった)
艦娘(緩やかに、死を迎えようとしていた―――肉体はどうかも解らないが、私の心はほぼ死んでいた)
艦娘(そこへ――――)
役人「失礼する」
艦娘(私に死刑宣告をした、あの政府の人がやってきた)
役人「君に話があってきた。会ってくれないだろうか?」
艦娘「………」
役人「酷い顔だ。まるで死人のようだ」
艦娘「帰ってください。私に話はありません」
役人「私達の方に話がある。君は多くの訓練で優秀な成績を収めた。まだ若く、将来もある」
艦娘「でももう、何の意味も無い」
役人「あるとも」
艦娘「ありません! 宇宙をずっと目指して! その為に子供の頃から、色々努力してっ、勉強も重ねて、訓練して…宇宙に飛びたかったから…!」
艦娘「その為にどんなことにだって頑張ってきたのに…その夢が…もう……」
艦娘(思えば、全てを吐き出していた。その全てを、叩きつけていた)
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