69:1[sage]
2014/07/06(日) 21:57:27.70 ID:nuIy2SP40
艦娘(お医者さんが両親に激怒した。とても十代の子供にさせる生活じゃない、と)
艦娘(絶対安静が言い渡された。だけど私は、心の中で頭を抱えていた)
艦娘(入院の費用。遅れる授業。足りない出席日数)
艦娘(もう、全てが終わってしまった)
医者「助けてくれた人がいなければ、危ない所だったよ。ああ、いや。人じゃないかも、な」
艦娘(お医者さんは親切で、塞ぎこんでいた私に色んな話を振ってくれた)
医者「ほら、見てご覧。この新聞なんだが」
新聞『護国の盾たる艦娘 休暇中に女学生救助』
新聞『深海棲艦の脅威から国を守る艦娘が休暇中に、急病に倒れた女学生を救助した』
新聞『実に美談である』
艦娘(深海棲艦とは単語では知っていた。だが、まだこの頃は別世界の話だと思っていた)
艦娘「……」
艦娘(私は、この艦娘に手紙を書いてみた。助けてくれたお礼と、深海棲艦と戦っている事についての激励だけの、短い手紙)
艦娘(そして手紙を出した後に退院した私は、学校を休学し、家事だけに専念する日々を送った。もう次に進めないと感じたせいだろう、学びたいという意志が消えた)
艦娘(そして手紙を出した事も忘れた、ある日の事だった)
???「ごめんください」
艦娘「はい…」
鳳翔「私は、海軍鎮守府所属の艦娘、鳳翔といいます」
艦娘「…あの時、私を助けてくれた…?」
鳳翔「はい。お手紙、ありがとうございました」
艦娘「………」
鳳翔「…あまり、元気にはなられてないようですね」
艦娘「ええ……」
艦娘「行きたい学校に、行けなくて」
艦娘「貧乏で、大家族だから、弟とか妹の面倒を見ないと行けなくて。でも、進学とかしたくて…」
鳳翔「あんなになるまで、頑張っていたんですね」
艦娘「そうですね。頑張っていました。でも、もう終わっちゃいました」
艦娘「…あんなに辛かったのに、不思議なんです。いざ、終わっちゃうと…目的を果たせずに終わっちゃうと、そっちの方が辛いんです」
艦娘「おかしいのですよね。あの頃と今じゃ、あの頃の方が疲れ果ててたのに。今じゃ、酷く疲れはしないけど…何も…」
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