19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/18(水) 13:35:49.67 ID:OIe+ZWtGo
「……あいつがさ、あたしを引っ掻きやがったんだ」
相手を責める口調で、少女が呟く。
だが僕はその言葉の端に感じた自責の念も見逃さない。
「だからさ、謝るまで許してやんないんだ」
弾けたフーセンガムを口の周りにつけたまま、少女が言う。
実を言うと僕はフーセンガムを膨らませるのがあまり得意ではないので、さっきからずっと噛んでいた。
だがものは試しだ、僕も膨らませてみる。
「あははっ、何それっ」
少女に笑われてしまった。
これでも相当真面目にやった方だったのだが。
少しムッとした表情をしていたのか、少女は笑いながら再び懐からガムを取り出した。
今度は箱ごと。
「あげるよ、それ。次会うときまでに練習しておいてね」
それだけ言い残し、少女はササッと走って行ってしまった。
残された僕は、しばらくガムを噛んでいた。
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