過去ログ - 咲「人にやさしく」
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287: ◆cua46o7hQE[saga]
2015/03/18(水) 21:52:46.26 ID:EoCfn+GAO

 そんな想いとは裏腹に時間だけが不条理に過ぎていく。
 緩やかに曖昧になる影の色と夕闇の境。
 完全に夜になってしまえば、最早見付けるのは不可能だろう。

久「サキ、もう明日にしましょう?」

 膝を落とし、サキの目線と位置を合わせて久は問う。

サキ「……」

 くしゃくしゃ歪むサキの顔。
 大きく瞳を見開き、涙が零れそうになるのを堪えている。
 咄嗟に「新しいの買ってあげるから」と紡ぎそうな久の口を、私と白望は強引に手で塞いで止めた。

白望「久、ストップ」

久「むむー、むーっ!」

 久は不満げに眉を顰め、抗議の唸りを挙げる。
 そんな私の姿を、サキは双眸の潤いをそのままに、縋るように見つめていた。

智葉「サキは、あの髪ゴムが良いんだろ」

 私の問いに、サキは必死になって首を上下させる。

智葉「安心しろ。私は真剣な奴の味方だ」

サキ「……うん!」

 炎が点る。
 涙は何時の間にか引っ込んでいた。

久「仕方ないわね。いっちょ付きあってやりますか」

 息をほぅっと吐いた久が苦笑混じりに袖を捲り、気合いを入れ直して。

白望「ダルいとか言ってる場合じゃないよね」

 白望は各関節をぐるぐると回した。



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