過去ログ - 咲「人にやさしく」
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289: ◆cua46o7hQE[saga]
2015/03/18(水) 22:02:27.77 ID:EoCfn+GAO

 「あら、貴女達」

 そんな折りに不意に背後から声がかかった。
 聞き覚えのある、……確か数日前に。
 振り返れば、知り合いというか顔見知りというか。

白望「あ」

久「げ」

智葉「……ちっ」

 私達は三者三様に一つの音節を口から漏らした。

美穂子「何ですか、その反応は……」

 どうやらこの状況において、最も出逢いたくない人物に出逢ってしまったようだ。
 彼女の性格からするに、次の言葉は容易に想像が付く。

サキ「あの、みほこせんせーこんばんは!」

美穂子「あらサキちゃん、こんばんは……って貴女達、小さな子をこんな遅い時間まで連れ回して」

久白智「「「………」」」

 ほら始まったと言わんばかりに私達は顔を見合わせる。
 こうなってしまったら、探索を続行する為には足留め役という名の生贄が必要だ。

白望「久」

智葉「まあ御前は今より印象が悪くなることはないだろ」

久「いやちょっと待ってよ。それはないんじゃない? 少し考え直しましょう?」

美穂子「私の話聞いてますか?」

 聞く耳持たず。

白望「パス」

智葉「任せた。……サキ、走るぞ!」

サキ「は、はい!」

 数瞬後、やいややいや喚く女性の声と宥める女性の声が背中を叩き、それが暫くの間耳に届いていた。



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