90: ◆cua46o7hQE[saga]
2014/07/02(水) 22:12:23.56 ID:lqcS1rPAO
地面を蹴り出す度に、恐怖が心を塗り潰す。
きっと間に合わない、間に合ったとしても2人共々弾き飛ばされるのがオチだ。
そんな気持ちとは裏腹に、体は一歩ごとに風と同化し加速していく。
智葉に言われたのは、覚悟があるか……だったか。
正直、そんなものは今のところ無い。
だって、覚悟っていうのは行動した後で証明されるモノであって、幾ら格好いいことを口走ってもそれは見せかけでしかないからだ。
私は手を伸ばす。
やはり少し足りない。
そのちょっと距離に絶望した私の悲痛な表情が、サキの瞳に映っている。
「……」
諦めかけたその時、追い風が吹いた。
違う、背中に伝わる感触は追い付いた白望の左右の手だ」
「久」
久「白望の手は、まるで私こそがサキの手を掴めと言わんばかりに私の体を押し進め」
白望「久」
久「私は遂にサキの手を───何よシロ」
私は今、横断歩道を越えた信号機の真下でサキと2人へたり込んでいる。
どうにか、間に合ったようだ。
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