過去ログ - モバP「たった一人の理解者」
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14:オーンスタイン ◆gijfEeWFo6[saga]
2014/06/22(日) 00:05:48.80 ID:0ZfzTa4p0
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 ――今まで過ごしてきた人生は長いようで短い。




 幼い頃から、自分の能力に振り回されていた。

 超感覚的知覚の一種である『精神感応』。自分では当たり前だと思っていた世界は、世間的には信憑性の低い、存在するかどうかすら定かではないあやふやなものだったらしい。
 精神感応は近くにいる人間の感情、思っていることを勝手に読み取ってしまう。それは人間の常識を超えることであり、能力を知られれば周囲の人間から排他されても仕方ない。
 
 子供の頃は知らなかった。自分の世界が他の人とは異なっている異形のものだということを。

 知らなかったとは言え、この能力のせいで他人を傷つけてしまったことは何回もある。

 俺は普通になりたかった。精神感応なんてものを持って生まれなければどれだけよかったことか。

 もっとも身近な存在である家族ですら容赦なく悪意をぶつけてくる。表向きは普通の家族そのものだからこそ、失望は大きかった。幼い頃から既に、良い子にしていないと悪い感情をぶつけられるという抑圧された環境に身を置く羽目になった。

 友人と呼べるものは小学生の頃に数人いたが、結局この能力のせいで別れる羽目になった。それどころか虐めまでされる始末。

 非行に走ることなんて思いつきもしない。ただひたすらに、悪感情を持たれないように立ち回った。
 
 今でこそマシになったが、昔はいつも精神を疲弊していた。

 疲れるのも、嫌な思いもするのも嫌だから、俺は独りになることを望んだ。
    


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