62: ◆gijfEeWFo6[sage saga]
2014/12/21(日) 02:13:12.55 ID:LJ3GPEdto
俺は思わず彼女の手を取り、人の多い広場から連れ出していた。
「そなたー? どこに向かうのでしてー?」
たとえ芳乃の言っていることが本当で、ああいう環境に慣れているのだとしても、あの汚い場所から少しでも遠ざけてあげたかった。それが自己満足だとしても構わない。
芳乃にはあの場にいて欲しくなかった。
「撮影まではまだ時間がある。あんなところにいる必要はない」
少しばかりひと気のない林道にて、彼女の手を離す。
芳乃は穏やかな表情で、俺を真正面から見つめていた。
「そなたの心は、優しさに満ちておりましてー。とっても嬉しいのですー」
「優しいとか、そういうんじゃない。俺に限った話じゃない……誰だってそうする」
女の子が嫌な想いを直接ぶつけられるような状況の中にいるのに、誰が放っておくというのか。
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