14: ◆dINyckyVoNyT
2014/06/20(金) 17:34:22.69 ID:R1mnJSEt0
夕飯も食べ終わり、片付けをし終わった後はいつものように部屋で特に何をするでもなく、ダラダラする。
この家に来て、初めて自分の部屋というものができた。
しかし俺はゲームも漫画も持っていないし、自分の部屋だからといって何もする事はない。
「男ー、開けてー」
ノックの音が聞こえた後、ドアの向こうから義姉の声がする。
「はいはい」
普段、部屋に入ってくるときはノックだけ。俺に開けるように頼む時は大体……。
「どう?プリン作ってみた」
そう、このように何かお菓子を持ってきて両手が塞がってる時だ。
既にノックの音だけでもお菓子持ってきたんだな、となんとなく分かりはじめた。
ノックの音が上の方からするか、下の方からするか、だ。
ドアを蹴るのはノックと言うのか分からないが、とりあえず音は鳴ってるし、俺が気がつくようにできてるからノック音でいいんだろう。
「美味そうじゃん」
「見た目は結構ね」
「何その言い方、味に問題あるみたい」
義姉からプリンの載った盆を受け取りテーブルの上に置き、義姉の方を見る。
「砂糖入れすぎた。いやー、失敗失敗」
小さな失敗をした事に、笑って誤摩化そうとする。
義姉は結構何でも出来る分、失敗したり、恥ずかしい事があるとこうやって笑う。
あざとい。
その一言で言い表せるのだろうが、惚れてしまった弱みだろうか。そういった所が可愛くて仕方がない。
「いいよ、別に。甘いの好きだし」
「お子様だねー」
「別にいくつになっても甘いの好きでいいじゃん」
「私はクールにブラックコーヒーを優雅に……」
「あーはいはい」
お子様。この一言に俺はいつまで経っても義姉の隣には立てないんだと少し気持ちが沈む。
義姉の作ってくれたこのプリンみたいに、全部が全部甘い所……なんて、現実ではあまり受けない。
「ま、私コーヒーに砂糖とミルクドバドバ入れるんだけど」
「さっきの嘘かよ」
「嘘だよ。男いつも見てるでしょ?」
「お子様」
その言葉にムッとした顔を向けられるが、俺はその顔を横目にプリンを少し口に運ぶ。甘い。
「うわ、あっま」
「でしょ?」
「なんていうか、砂糖のかたまりをプルプルにしただけ、みたいな」
「今度は分量間違えないようにして、おいしい卵の風味がほんわり香るやつ作るからね」
テーブルの上で頬杖を付き、微笑みながら俺の方を見つめるのはやめてほしい。
なんだか、餌を食べてる小動物を微笑ましく見てるようで嫌だ。俺は餌付けされてるハムスターじゃない。
綺麗な髪とか首もととかに目線が行くし、目の前でそんな風にされてると目線をどこにやったらいいか分からないから、とりあえずプリンをジッと見ながら黙々と食べた。
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