10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/20(金) 18:41:12.93 ID:aUpPVcxlO
「あれは……」
歩く度に上下に揺れるツインテール。
小さな身体にそぐわない大きなリュックサック。
「八九寺じゃないか」
僕が八九寺を見間違える訳がない。
「かわゆいよね! 暦ちゃんスカウトすゅ?」
「いや、あの子供は危険だ。下がっていろ諸星」
諸星を制して足を止める。
はぁ。
うーん、どうしようかな。
正直なところ、八九寺を見つけたらダッシュで近付いて色々する、というのが僕の恒例みたいになっちゃっているからなぁ。
お笑いの世界で天丼は必要だが、やり過ぎても鬱陶しいだけなんだよね。
それに僕ももう二十歳を過ぎた大人だ。
そりゃあ高校生の頃は若気の至りもあって法に触れるギリギリのこともしたさ。
ああ、しましたよ。認めましょう。
けれど人間は否が応でも成長する生物だ。
確かに何割かは人間ではない僕だけれど、万物の霊長を名乗る程の種族の枝先である僕が五年間、一切成長していないだなんてことがあってはならない。
ただでさえ八九寺はもう身体的にも成長できない、人に非ぬ神という存在だ。
そこに時間の経過と共に差が出来てしまうのは残酷に思えるが致し方ないことだろう。
それに今だからこそ言うけど、八九寺との絡みは半ば義務みたいなところがあったからね。
例えどんなに嫌いな相手でも、カメラや他人の前では仲良く。
それが社会人でありプロの心得。
芸能界に限らず、人間社会ではよくあることだ。
そういう意味では僕はニーズに応えていただけであり、別に八九寺のことなんて好きでも何でもないんだよね。
そりゃあ嫌いじゃないよ?
年齢の割には口が達者で会話の内容も飽きないし、友人としては好きな部類に入るさ。
けれども、そんな毎回抱き付いてキスをして、ってお前どれだけ八九寺が好きなんだよ、って話になるだろう?
あり得ないあり得ない。
働き者の双葉、ボランティアに行く貝木くらいあり得ない。
ここは常識人溢れる大人の対応として、軽く肩を叩いて『よう八九寺、久し振りだな』とでも声を掛けよう。
さて、と。
39Res/42.70 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。