過去ログ - 阿良々木暦「きらりホッパー」
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27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/20(金) 19:17:06.22 ID:aUpPVcxlO

「八九寺!」

「はい!」

「肩車してくれ!」

「物理的にもムリですし精神的にも嫌です!」

「ええい、役に立たんやつめ!」

「手のひら返すの早すぎです!」

さすがは阿良々木さんです! と八九寺から訳の分からない誉れを受けた僕は両脚に力を込め、目標を視界へ。
力の限り諸星に向かって垂直跳びをする。

「こ……暦……ちゃん!」

「僕だけはお前という人間を、等身大の諸星きらりを、見続けると約束してやる!」

精一杯伸ばされた諸星の両腕を引っ張り、身体ごと抱き締める。

「捕まえたぞ、諸星」

それは、異様な光景に映っただろう。
何せ何も支えのない天井に張り付く二人だ。
監視カメラを見た店員が来たら、手品の練習だと言い張ろう。

「え……うぇへへへ……」

諸星も緊張の糸が切れたのか、いつもよりは弱々しかったが、ようやくその顔に笑顔を浮かべてくれた。

瞬間、

「うわああああ!?」

「にょわ――――――!?」

従来の重力方式に従い、僕と諸星は落下した。
無論、僕が下だ。
とてつもない鈍痛と共に視界に星が飛ぶ。

「いってえええええ!?」

「うわ、すっごい音……」

二メートル半近い中空からガラス製のテーブルへ真っ逆さまだ。
死にはしないとは言え、痛い。痛すぎる。
文字通り頭が割れそうだ。
ガラスが割れなかっただけが不幸中の幸いと言えよう。
僕の上に覆いかぶさるように共に落ちた諸星が、ゆっくりと身を起こす。

「ごめんね、暦ちゃん……ありがとう」

違うんだ、諸星。
僕の方こそ、ごめん。

いつか羽川と交わした言葉を思い出した。
特別であることは、違うという事。
けれどそれは、決して人より優れている、という事にはならない。
僕の存在のように、いつかの羽川のように、普通よりも劣る『特別』がある。
けれど、それでも、僕らは可哀想なんかじゃない――そう、虚勢に近い想いを持ち続けていたけれど。



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