43: ◆ycDKV.3ZYU
2014/06/26(木) 23:38:54.58 ID:Hb2r216AO
三夜
44: ◆ycDKV.3ZYU
2014/06/26(木) 23:40:58.09 ID:Hb2r216AO
P「今夜も何か、話を聞かせてくれよ」
貴音「ふふっ。昔語をねだるなんて、子どもみたいですね」クスクス
P「あー、貴音の話が聞けるなら、もういっそ子どもでもいいかも」
45: ◆ycDKV.3ZYU
2014/06/26(木) 23:42:06.52 ID:Hb2r216AO
貴音「とんと昔の事」
貴音「ある山中の小屋に、女房は糸を紡ぎ、旦那は竹取をして生計を立てている、貧しい夫婦がおりました」
貴音「ある夜の事だったそうです。女房が、里へ売る為の絹を作るため、夜通し糸車をからからと廻している時の事」
46: ◆ycDKV.3ZYU
2014/06/26(木) 23:42:53.69 ID:Hb2r216AO
貴音「しかもその狸たち。女房が糸を紡ぐ様子を真似っこしたり、ちいさな糸車をからからと空廻ししたりしていたのだそうです」
P「ははっ。狸はイタズラをするイメージがあるけど、可愛いところもあるじゃないか」
貴音「…ふふっ。はてさて、本当にそうでしょうか」クスクス
47: ◆ycDKV.3ZYU
2014/06/26(木) 23:44:25.23 ID:Hb2r216AO
貴音「と、いついつまでも腹太鼓を打っていたそうです」
貴音「さて、その狸たち、その晩以降もその夫婦の家の周りに集まっては、ぽんぽこぽんぽこと、腹太鼓を打ったり女房の真似っこをしていたそうです」
貴音「狸の腹太鼓など、月夜の晩などは、特に賑やかだったのだそうで」クスッ
48: ◆ycDKV.3ZYU
2014/06/26(木) 23:45:47.24 ID:Hb2r216AO
貴音「事もあろうに、今度は昼間にも現れる様になり…」
貴音「おひつをひっくり返し、ごはんを食べられなくしたり」
貴音「残菜を食い散らかしたり」
49: ◆ycDKV.3ZYU
2014/06/26(木) 23:46:22.69 ID:Hb2r216AO
―パシッ
50: ◆ycDKV.3ZYU
2014/06/26(木) 23:48:26.64 ID:Hb2r216AO
貴音「と、」
貴音「罠が跳ねる音がしたそうです。女房が、眠っている旦那を起こすまいと、そろぅりと外へ出て、罠を見てみると…」
P「…」
51: ◆ycDKV.3ZYU
2014/06/26(木) 23:50:31.07 ID:Hb2r216AO
貴音「さて次の朝、旦那が罠の様子を見、『罠にかかっていなかった』と、残念にしていたが、女房は知らんぷりをしていたそうな」
P「まぁ、自分が逃がしたーなんて言えねぇよな」
貴音「さて、冬場も近付き、山にさくりさくりと雪が積もり始めた頃、夫婦は里に降り、山の雪解けを待ったのだそうです」
52: ◆ycDKV.3ZYU
2014/06/26(木) 23:52:16.45 ID:Hb2r216AO
貴音「夫婦は、『また狸の悪戯か』と呟き、恐る恐る小屋の中へ入ると、驚きを隠せなかったのだそうです」
P「うん?また狸の悪戯か?」
貴音「ふふっ。いえいえ」クスクス
53: ◆ycDKV.3ZYU
2014/06/26(木) 23:53:27.03 ID:Hb2r216AO
貴音「旦那は、さっそく里へその絹を売りに行くと、飛ぶ様にその絹は売れました」
貴音「その噂は、里の長者の耳にも入り、有り得ない程の高値で売れたのだそうです」
貴音「その事もあって、夫婦の暮らしは随分と楽になったのだそうです」
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