2: ◆.xKc9zwqNY[saga]
2014/06/24(火) 02:19:34.32 ID:I3aK4n380
疲れた、という独り言と共に、社長室のソファに身を投げる。
亜美「お疲れちゃーん」
律子「……あんた、何当然のようにココにいるのよ」
3: ◆.xKc9zwqNY[saga]
2014/06/24(火) 02:20:04.18 ID:I3aK4n380
違う。本当はそんなことを言いたいのではない。彼女、双海亜美がここにいる理由だってちゃんと解っている。
律子「あんたはウチの大事な看板タレントなんだから。身体を休めるのも仕事の内よ」
だというのに、口は勝手に言葉を紡ぐ。
4: ◆.xKc9zwqNY[saga]
2014/06/24(火) 02:20:31.28 ID:I3aK4n380
亜美「身体を休めるのが仕事なら手当ちょーだいよ」
律子「バカなこと言わないの。で、何の用?」
亜美「こないだのお返し」
5: ◆.xKc9zwqNY[saga]
2014/06/24(火) 02:20:57.79 ID:I3aK4n380
亜美「私の誕生日にゃ、随分遅くまで付き合ってくれたからね」
律子「部下の慰労も社長の務めよ」
亜美「またまた。相変わらず素直じゃないんだから」
6: ◆.xKc9zwqNY[saga]
2014/06/24(火) 02:21:28.99 ID:I3aK4n380
律子「まぁ、明日は流石に休みにしてるから良いけどね」
やっとの事で絞り出した、二人きりの酒宴への了承の言葉のなんと色気のないことだろう。
まってましたとばかりに、勝手知ったる様子で亜美がグラスを取り出す。口ずさんでいる歌は、懐かしいことに「SMOKY SRILL」だ。
7: ◆.xKc9zwqNY[saga]
2014/06/24(火) 02:22:00.27 ID:I3aK4n380
亜美「はい、律っちゃんのグラス」
手渡されたグラスをあいまいな笑顔で受け取り、コツンとあわせる。
律子「……ふぅ」
8: ◆.xKc9zwqNY[saga]
2014/06/24(火) 02:22:43.06 ID:I3aK4n380
それなりに人気のタレントを何人か抱えるプロダクションの社長である私が手を出すのをためらうくらい高価なお酒を、亜美は関係ないもんねとばかりに注いでくる。
律子「ちょっ、亜美! あんたこれの価値分かってんの?」
亜美「買った本人なんだから知ってるに決まってんじゃん」
9: ◆.xKc9zwqNY[saga]
2014/06/24(火) 02:23:08.17 ID:I3aK4n380
律子「亜美、後悔してない?」
亜美「へ?」
らしくないついでに、ずっとずっと聞きたかったことを聞いてみることにした。
10: ◆.xKc9zwqNY[saga]
2014/06/24(火) 02:23:53.73 ID:I3aK4n380
何か珍獣でも見たかのような失礼な顔を浮かべる亜美に対して、私達の間ではもはや定番となっている少々怒気を孕んだ声で再度問う。
律子「だから、765プロを抜けて私に着いてきたこと、後悔してないかって聞いてるのよ!」
我ながら可愛げの無い女だ。そんな私を、嫌な顔をしないどころか笑顔で見つめる亜美。これではどちらが年上か分かったものじゃない。
11: ◆.xKc9zwqNY[saga]
2014/06/24(火) 02:24:23.82 ID:I3aK4n380
亜美「律っちゃん、不安だったんだね」
そう言いながら、私の頭をポンポンと撫でる。そう言えば、亜美が私の背を抜いたのはいつだっけ……などと関係のないことを思い浮かべながら、暫しの間亜美に頭を預ける。
12: ◆.xKc9zwqNY[saga]
2014/06/24(火) 02:24:55.62 ID:I3aK4n380
亜美「大丈夫。良いことも、悪いことも、律っちゃんと一緒なら全部いい思い出だよ。もちろん、765プロを一緒に抜けたこともね」
そう言って、私の頭上の手をそっと離す。
律子「あっ」
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