31: ◆V0KrAyBMBI[saga]
2014/07/17(木) 22:36:56.13 ID:8zTtnP5s0
しかし、先輩に妹さんが居るというのは意外だった。
さぞ先輩に似て綺麗な女性なんだろうな、と名前も知らない妹さんの姿を夢想する。
「……別に人の妹の事を夢想するのは構わないけれど、
―――君の前には、もっと大切にしなきゃいけない人がいるのではなくて?」
先輩が僕をじとっとした目で見ていた。
僕の前、ってことはひょっとしなくても先輩の事だろう。
別に先輩の事をないがしろにした訳ではないのだが。
「大丈夫です先輩。僕が先輩を見捨てるわけないじゃないですか」
「…………その言い方には、何か引っかかるものを感じるのだけれど。まぁいいわ」
先輩はとりあえずそれだけで、引き下がってくれる。
少し沈んだ顔で、手元の閉じられた本に視線を落とす。
「……多分、私が悪いのでしょうね」
それは先輩らしくもない、自分の非を認める発言だった。
それだけ、妹さんに嫌われているという事実がショックなのだろう。
だが着目すべきはそこではない。
「多分……?」
「ええ。私、妹がどうして私を嫌うのか、知らないの」
先輩は自嘲気味に笑うが……。
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