38: ◆V0KrAyBMBI[saga]
2014/07/29(火) 23:14:32.31 ID:wDq72bcn0
夏休みを目前に控えた日曜日。
朝から気温は三十度を超え、僕たちの住んでいる部屋も、ひどい熱気に包まれている。
生活費を圧迫しかねないため、クーラーもつけられない。
そんな中でも先輩は、汗一つかかずにすまし顔で読書に勤しんでいて、僕はリビングに大の字になって半ば溶けていた。
「あっづ……」
口を開けばついその一言。
他の言葉を知らないのかと言うぐらい、口をついて出てくる。
雨でも降れば、いくらかは涼しくなるか。いや、逆に蒸して余計暑くなるか。
「首に保冷剤でも当てたらどうかしら」
暑さに溶けていく僕を見かねたのか、先輩がそんな助言をしてくる。
その手があったか。どうやら僕の頭は完全に茹っているらしい。
早速立ち上がり、冷凍庫から保冷剤を一個取り出す。
首に当てた瞬間、火照った身体が一気に冷えていくような感覚に陥る。
「さすがです先輩。これでまたしばらく戦えます」
「何と戦うつもりよ。それに誰でも思いつく事じゃない。大げさね、もう」
先輩はそう笑うが悪い気はしないみたいで、さっきよりも幾分機嫌が良くなったような気がする。
平然としてはいるが、やはりこの暑さには参っているのだろう。
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