8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/06/25(水) 23:08:20.52 ID:LAH+pWiZ0
突然だが、僕の先輩は美人だ。
今となっては絶滅危惧種となった長い黒髪。
少なくとも僕の周りには、髪の長い女性自体が存在しない。
冷たい印象を持たれがちな、切れ長の鋭い目。
身長も高くスレンダーな体型。モデルなんかをやれば、きっと成功するだろう。
性格も真面目で、教師受けもよい。
生徒からの人気も高く、僕の知らないところでファンクラブが出来ているとかいないとか。
ただ、その人気に反して先輩に話しかける人は少ない。
話しかけた時にあの鋭い目で見られると、睨まれたような気がして怖いのだとか。
当然だ。慣れた筈の僕だって、蛇に睨まれた気分にさせられるのだから。
「……じっと見られていると、恥ずかしいのだけれど」
窓際で本を読んでいる先輩を見ていたら、困った表情を向けながら訴えてくる。
先輩の困った表情は貴重かもしれない。
恥ずかしがる先輩は可愛い。
「気にしないでください。至極くだらないことを真面目に考えていただけですから」
「……そ、そう」
思い切り変なものを見るような目で僕と見て、先輩は読書に戻る。
読んでいる本はカバーが掛かっていて分からないが、依然話してくれたタイトルは確か。
(どぐらなんたら、だったか……?)
結構有名な本らしいが、かなり危険な本だ、相当ヤバい本だ、ぶっちぎりでイカれた本だ、とか。
あまりいい噂も聞かない作品だったような気がする。
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