過去ログ - 愛「夢にまで見ていたあのステージ」
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19:1[saga]
2014/06/25(水) 21:50:48.64 ID:jCc3EvyG0
愛「あれ、おかしいな……。 嬉しいっ、嬉しいのにっ」

涙が流れる目尻を両手で拭う。

「女の流す涙は宝石」、とキザな男が女を口説くのに使うような言葉を聞いた事がある。
自分の涙が宝石と思うほど自惚れてはいないが、
会場のみんなや涼さんや絵理さんのお陰で流れた涙なのなら、これは宝石と扱っても良いのかもしれない。

まるで持ち方を忘れてしまったかのように、たどたどしくマイクを握る。
震える声には歯を食いしばり、込み上げる気持ちには胸を張って対応するも、
それもどうも上手くいかない。

愛「…………っっ、あっ……。 あのっ……」

いつしか会場の声はとっくに鳴り止んでいて、
私が発話しない限り静寂なのでは無いかと勘違いするほどだ。

不意に両肩に手を置かれる感触を覚え振り向くと、
そこには涼さんと絵理さんの姿があり、潤んだ瞳を向けて頷いた。
何でそんなにも優しい笑顔なのか。


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