過去ログ - 【PSYREN】ほむら「暴王の月」【まどマギ】
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162: ◆FLVUV.9phY[saga]
2014/07/15(火) 00:00:37.18 ID:4KPBSJb6o


 つまりは、今の情報をいくら得たところで世界の謎には辿り着くことが出来ない。そう結論付けるほかなかった。
 だとすれば、どこから情報を手に入れればいいのか。

 紙も、機械も、風化していて碌な記録は残っていない。ならば直接手に入れるしかない。
 何をすればいいのかの指標は出来た。しかし、時を遡るということとは甚だ困難だ。

 どうすればいいのか考えて、彼女は『大気』、特に充満するPSI粒子の記憶を読み取れば良いと思いついた。
 どうやったら、そんなことが出来るのか。簡単だ、大気に人格を与えて、仮想の世界を一つ作り上げてしまえばいい。
 そして、七日かけて彼女はその策を実行した。

 神経を削る精密作業に、意識がブラックアウトし掛けること実に二十三回。一日辺り三回から四回ほどの頻度だった。

 苦心し、苦肉し、困窮しながらも、彼女は世界を作り上げた。

 世界の大気から作られた自立稼働型のPSIプログラム。
 基本構造はQと同一で在りながら、拡張スペックを可能な限り詰め込んだ。

 世界の終わりに対する怒りと、謎を解明するためという理由をもって『ネメシス』と名付けようと、彼女は思った。
 そして、『ネメシスQ』が過去へと遡り始めた。

「世界は、つ・な・が・る」

 グリゴリ実験体07号は誰にともなく、呟いた。
 その呟きは絶望に潰されたこの世界に希望の糸を繋ぐ最初の架け橋となる。

 戦いの中で命を落とした少女たちは、円環の理によって後顧の憂いなく、その魂を燃やし尽くした。
 倒れたW.I.S.E.の星将たちは、やがて目を醒ましさらなる力を得ようとし、邪法に手を染め、そして獲得する。
 圧倒的に敵を蹴散らす世界の力を。

 最後に、漆黒の月は本来あるべきところへと帰る。明け色から宵闇へと。
 暁の少女には平穏な眠りがもたらされた。熱力学に囚われない救済は、全てを平等に扱う。

 そして、知っていた。遠くない未来で、もう一度この星に命が芽生えるということを。
 
 end




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