13: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:29:19.25 ID:xpCfEu5V0
「先生!」
怒鳴りにも似た声を鈴木の背中に浴びせかける。
だが鈴木は別段気にした様子もなく、
14: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:29:53.25 ID:xpCfEu5V0
何かまずい事をしただろうか。
いや、『今日は』いかがわしいモノなど持っていない。
何か言われる筋合いは無い。何か取られる筋合いも無い。
15: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:30:37.29 ID:xpCfEu5V0
「家庭訪問をしようと思ってな。お前、自分の成績がどうなっとるか分かるか?」
鈴木は声色を落として喋りながら、太郎の前にB5大の白い封筒を二つ突き出した。
「こないだのテスト結果と、クラスの成績表だ。親御さんに渡しとけ。
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/06/28(土) 18:30:43.28 ID:l5BJyPSr0
スラスラ読めて面白い
17: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:32:41.51 ID:xpCfEu5V0
太郎は矢の如く職員室を飛び出した。当初の目的は保留とする。
何故なら、自身も猥本没収の危機に瀕しているからだ。
会談は太郎の部屋で行われるだろう。理由は家の間取りにある。
18: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:33:32.07 ID:xpCfEu5V0
単純に考えるなら、このまま急いで帰って猥本を隠せばよい。
しかし太郎の頭は最悪の事態を想定していた。
鈴木が家に一報を入れるという事である。
19: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:34:14.51 ID:xpCfEu5V0
太郎には竹馬の友があった。佐藤健太である。
健太も勝と同じく、志を同じくする者の一人である。
彼らは、
20: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:35:00.95 ID:xpCfEu5V0
コールがやけに長く感じる。
太郎はトントンと爪先を地へ打ち続けた。
6回目のコールの後、ガチャリと受話器を上げる音がした。
21: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:36:33.99 ID:xpCfEu5V0
太郎は受話器をフックに叩きつけ、すぐさま駐輪場へと駆け出した。
鍵を外し、ヘルメットを被り、颯爽とサドルに腰を据える。
そして両手でハンドルをガッシリと握る。
22: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:37:11.57 ID:xpCfEu5V0
黒い風が大地を駆ける。その勢いや疾風怒濤。
カバンが大気を切り裂きながら、太郎の後ろを横一文字に追従する。
額から飛び散る汗だけは、その場に残って太郎の背中を見送った。
23: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2014/06/28(土) 18:37:58.55 ID:xpCfEu5V0
あらゆるものが風を避ける。
電柱、看板、ゴミ箱、家屋、コンビニ、横断歩道、街路樹、ガードレール、そして、自転車、道行く人々。
彼らは驚然として道の端へと跳び退いてゆく。
80Res/33.09 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。