過去ログ - 魔法少女まどかマギカSS談義スレその107
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908:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2014/07/16(水) 21:47:31.33 ID:qMhQUZOT0
病院に一人、少女がいた。彼女は、病気だった。

病名は、知らない。

ただ、言えるのは……

大好物のチーズを食べることができない病気だ。

チーズは発酵食品。発酵は腐敗の親戚。

「苦くて痛い薬はもう嫌だ。ご飯もおいしくない。お菓子も食べれない。パパもママも忙しくてお見舞いに来てくれない」

彼女は、幼いながら……死を悟って、いや、むしろ心底では望んでいた。

「わたしは……もう一度、おいしいものが食べたいのです!」

魂を売った。魔女だとか使い魔だとか、戦う代償なんてどうでもよかった。

売ったと自覚していまいが、いようが、きっと、死ぬのは同じ。

小さくてボロボロの体では、まともな思考は無理だった。

体から、宝石がでてきた。 キラキラしてて、綺麗だった。

少し焦ったし、ちょっとだけ苦しかったけど「普段」と比べたら大したことない。

魔法少女になったら、急に体が軽くなった。

痛みと病気が消えた。

魔法少女とはそういうモノらしい。

少女は、白くて丸いモノに感謝した。

神経を掻くような痛みと病院からの制圧で食べれなかったお菓子が食べられる。

魔法の力で、作ることができる。

少女は確信した。そして『白』もそう言った。

早速、白に魔法の使い方を教えてもらった。

そして、大好物のチーズを作ることにした。

折角だから「幻のチーズを作りたい」と言った。

白は、少女の胸から出てきた宝石に触れた。

すると、ゴロン、と。自分の膝に白い塊が。

手が震える。

このにおい。この色。この触感。

感動するよりも早く、少女はかぷりと一口、小さい口で豪快に囓りついた。

これが高級チーズなんだ。

おいしいかどうかよりも、チーズを食べることができた感動の方が大きかった。

泣いた。痛みと寂しさとは別の涙。

「よっぽど感動しているようだね」

白は言った。少女はただただチーズを詰め込んだ。

「このチーズは、カース・マルツゥ」
「製造過程に蛆の卵を植えつけ、蛆の体液で発酵、脂肪を分解するんだ」
「食べる時には蛆を取り除く人もいるけど、蛆ごと食べる場合もあるよ」


――お菓子の魔女。その性質は『執着』 欲しいものは全部。絶対に諦めない

お菓子を無限に生み出せるが大好物のチーズだけは自分で作ることができない。トラウマで。

チーズさえ持っていれば簡単に隙をつくことが出来ただろう。トラウマで。


「なぎさはもう一度、全うにチーズを食べたかっただけなのです」


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