過去ログ - キョン「この中にポニーテールがいたら、俺のところに来なさい。」
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161:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/04(金) 23:53:20.81 ID:2KaaaGHw0
放課後、朝倉のポニーテールに未練があったので、何とか自宅を割り出そうとした。

しかし、ガードが固くて無理だった。残念だ。

帰り道一人子供の頃の事を思い出した。

小学生の、六年生の時。家族みんなで野球を見に行った。俺は野球なんか興味なかったが。着いて驚いた。見渡す限り人だらけだったね。野球場の向こうにいる米粒みたいな人間がびっしり蠢いていたのだ。日本の人間が残らずこの空間に集まっているんじゃないのかと思ったね。親父が言うには二千万人くらい居るだろうって話だった。最近になって知ったがそんな野球場は存在しない。オレの想像だが精々三百万くらいだったのだろう。試合中、親父が売り子のお姉さんにビールを注文していた。そのお姉さんの顔は全く覚えていないが、その人がポニーテールだったのは強く印象に残っている。思い返せば、このお姉さんのポニーテールの先が俺の鼻先をくすぐったのが、俺とポニーテールの初めての出会いだった。今でもハッキリと憶えているが、その時、俺は愕然とした。鼻先をくすぐる何とも言えない快感と売り子で汗をかいていたのだろう、微妙に汗の臭いが混じったシャンプーの香り。世の中にはこんなにも素敵なものがあるんだと感じたね。しかも球場を見渡すと多くの人。当時は親父の言葉を信じてたから、日本の人口が一億数千万を二千万で割って、六分の一。俺はまた愕然とした。それだけ多くの人間がこの球場にはいるんだとね。一人ひとり汗の臭いは違うし、シャンプーも違う。髪質だって違う。皆ポニーテールをしたら、それぞれ違う魅力があるんだろうと思った。
この日本の人口の六分の一が集まっている球場でそんな事を考えてるのは自分だけだと思った。ポニーテールの人は見かけるが、みんな注目していないし、ポニーテールに出来る人もポニーテールに結ってないからだ。この時、俺は自分が特別な人間だと思った。その時気付いた。俺が愕然としたさっきのポニーテールもありふれたものでしかないんだ。あの愕然としたものはどこにでもあるものなんだってね。そう気づいたとき、俺は急に全てのポニーテールを堪能したく感じた。ありふれたポニーテールでさえ、あのように素晴らしかったんだ。そして世の中のこれだけの人がいたら、その中には至高のポニーテールもあるんだ、そうに違いないと思った。それに未だに出会わないのは何故?小学校を卒業するまで、俺はずっとそんなことを考えていた。考えていたら思いついたんだ。ポニーテールは待っててもやってこないんだってね。中学に入ったら、俺は周りをポニーテールに変えてやろうと思ったんだ。待ってるだけの男じゃないことを人類に訴えようと思った。実際俺なり呼びかけたつもりだ。だが、結局は国木田すらポニーテールにしてくれなかった。そうやって俺はいつの間にか高校生になってた。朝比奈さんは凄く変わってるか、それか、とても良い子な気がしてきた。


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