169: ◆7SHIicilOU[saga]
2014/07/03(木) 09:24:10.26 ID:vZ/OG/0co
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久しく通っていなかったバーカウンターに腰掛け琥珀色の液体を喉に流す。
舌に苦味が走り、冷たくも熱い感覚が食道を通過する、
カランとグラスに溶けた氷がぶつかる音が耳朶に触れる。
BIGSHOTが小さな音量で流れる店内。私はため息を一つこぼす。
「おやぁ? くたびれた老人がいると思えば、高木ではないか」
聞きなれた、憎たらしい、しかし嫌いにもなりきれない声。
「黒井か」
振り返りもせず答えると、声の主はふんと鼻を慣らして一席あけて隣に座った。
「こんなところでなにをやっているんだ?」
「それはこっちの台詞だ高木。貴様は一体なにをやっている」
その言葉が”ここで”という意味で無い事は即座にわかった。
黙って、グラスを傾ける。
「ふん。……貴様の事務所も、ずいぶん立派になったものだな」
いいながら黒井も手元に来たグラスを勢いよく傾ける。
昔から序盤に飛ばして後半はべろべろになる奴だった。
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