過去ログ - 総合P「過労死必死」
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646: ◆7SHIicilOU[saga]
2014/07/05(土) 22:19:21.59 ID:Kp7eDxq/o

―――

 最近、足音が二つ聞こえる気がする。
振り返っても誰も居ないし、何もない。
けれど自分の革靴で廊下を歩く音とは別に、
ひたひたと忍ぶような足音が確かに俺の耳には届いていた。

 小梅や、クラリス・芳乃。あるいは歌鈴やこずえ辺りに聞けば
正体がわかるかも知れないなぁと考えて。
その時点で自分でも答えがわかってるじゃないかと苦笑する。

 多分その見えない足音の主は魔法使いのようなローブを着ている。
身の丈を超える大きな鎌を持っていて、その時が来るのを待っている。
そんな気がする。

「……今日で何日目だったかな」

 武道館ライブを明後日に控えたこの日、
夏真っ盛りの事務室は仕事量が過去最大クラスに上り
連日徹夜を繰り返す俺と事務員二人の棺桶となりかけていた。

「さぁ……、三日超えてから数えてない……」
「小鳥さん、口調が……あー、目が目が」

 二人とも、いや見えないけど恐らく自分も、
目も顔も疲れてるし髪はボサボサ服もだるだるだ。
この時期だけは例外的にホワイトボードの札も挨拶もスルー可にしてる。
可と言ってはいるが、事実上の立ち入り禁止なので、強制スルーだ。
スケジュールに関してはメールや電話でこなし、送迎などに関しては大人組に任せきりになる。
申し訳ないとは思うが、気を使う余裕など当に使い切った。

「俺、目玉がモニター焼けしそうですよ」
「もうしてますよ。ほら色白いんですから赤くなっちゃって」
「ちっひ、それ日焼けじゃなくて充血」

 机の周りにはインスタントな食品のゴミとか、
缶コーヒーや栄養ドリンクの空き瓶などが転がり、酷い有様である。
俺達自身も含めて10代以下には決して見せられない。

「くっそ……、ドリンクくれー。ミックスオレ作るー」
「また? 飲みすぎ……」
「そうですよ。身体によくないですよ……。アレはリミッター解除して
 強制的に身体を動かすモノですから……」
「知ってる。でも必要だろ」

 身をもって、痛いほど知っている。
……そういや二人も俺の事を言えない程鯨飲してるから、
もしかした同様の症状がでてるのかもしれない。
流石に混ぜてまとめて飲むのは俺だけだけど。

「んー……、でもいくらドライバー交代してガソリン入れても、
 マシンが壊れてたら走れないですよ」
「まだ壊れてないから大丈夫」
「壊れる前にと、言ってるのー」

 頭がぼぅっとしているからか、全員口調がずるっずるになっている。
重ね重ねアイドルには見られたくない。


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