798: ◆7SHIicilOU[saga]
2014/07/07(月) 19:46:01.07 ID:3UO1W+bbo
言われた通りに席に座り、使い慣れたパソコンに向かう。
立ち上げて、と言われたもののすでに電源は入っているのでモニターだけを点ける。
すると――。
「なんですか、この見慣れないアイコンは?」
「押して見てくれ」
デスクトップの中心に一度も見たことのない拡張子exeのアイコンが一つ置いてあった。
それは他二人も同じだったようで俺達は言われた通りにそれをクリックして見る。
『おはようございますマスター。私、頑張りますね!』
「え、卯月ちゃん……?」
『マスター! 電話ですよ! 電話!』
「春香ちゃんそっくり」
『おはようございまーす!! これからよろしくお願いします!!』
「うるせぇ!」
三者三様。それぞれのパソコンからアイドルの声が飛び出した。
それどころか、俺のモニターの上にはデフォルメされた愛がピコピコと動いている。
「これは一体なんだ……?」
「私が開発した電話応対、会計処理、データ整理などの事務仕事を手伝ってくれるAIプログラムだ。
無限に近い電話上でのやりとりを円滑に行えるようにするために少々時間を食ってしまって、
まだ不安定な所もあるが。君達が倒れてしまったと聞いて慌てて導入させた」
「まじか」
それは出すべきところにだせば十億単位の金が悠々と動く発明だと思うが。
「というか、晶葉。どういうものかはわかったが何でアイドルの姿をしているんだ?」
「うむ、どうせなら親しみやすくという意味と、学習機能を持たせているからな、
君達とも会話できる形態にしたかった」
「会話?」
「あぁ、君達が教えれば仕事もより覚えて効率的にこなせる様になる。
そうすれば君達の仕事は実際に書類に判子を押したり
感覚や経験が必要な物のみになるし、ずいぶんと楽になるはずだ」
「相変わらず凄いわね晶葉ちゃん」
「天才と言われるだけはありますね……」
ふんと胸を張る晶葉からまたモニターに顔を戻す。
『うぅ……うるさいって言われた……やっぱり私、ダメなんだ』
パソコン上の愛がへこんでいた。
なんだこれ。
「おい晶葉、なんかAIが凹んでるんだが……」
「君がさっきうるさいって言ったからだろうな」
「……え、それだけでか?」
「言ったろう? まだ不安定なんだ」
あぁ、不安定ってそっちが?
俺は動作が不安定なのかと思っていたんだが、
まさかAIの情緒不安定と来るとは……。
「ごほん。いいかね」
科学の力ってすげー。とかなんとか思っていると、
すっかり放置された社長が咳払いを一つ。
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