過去ログ - 兎角「走り鳰と一緒に仕事をするようになって」
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14: ◆CRgbhGx9gA[saga]
2014/07/04(金) 21:09:12.74 ID:mGn+Uq+do

*別の日 とあるマンション 204号室



兎角「それじゃ、行ってくる」

晴「いってらっしゃい、兎角さん!お仕事がんばってね!」

兎角「ああ」

一ノ瀬がいつものようにわたしを笑顔で見送った。

日曜日。午後4時。仕事なんてない。今日もどこかで10時間ほど潰さないと。

日曜の夕方はどこに行っても混んでいる。人の多い場所は苦手だ。

とりあえず線路沿いに歩いて時間を潰すことにした。

はしゃぐ子供を連れた夫婦とすれ違った。談笑するカップルとすれ違った。

……なにをやってるんだ、わたしは。

店のガラスに映った自分は、部屋を出入りするためのスーツを着て、ビジネスバッグを抱えていた。

わたしはこんなまともな人間じゃない。金のために人を殺している、暗殺者だ。

でも、そんな人間は一ノ瀬と同じひなたの世界にはいられない。

演じ続けないといけない。これからも、ずっと。

普通の仕事、普通の服装、普通の表情を。

平和な休日の景色なのになんだか、作り物みたいでまるで実感がなかった。わたしの住む世界じゃない気がした。

……あいつの話が聞きたい。

思いもよらない考えが頭をかすめて、自分で驚いた。

でも、あいつと一緒に仕事をするようになってもう4年になるけど、

あいつといるときだけは、自分を偽る必要がない。

わたしと同じく、黒組のころからほとんど変わらないあいつと話しているときが一番落ち着いた時間だった。

携帯を取り出し、ほとんど登録されていない電話帳からあいつの名前を選ぶ。

……走りのくだらない話が聞きたかった。





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