過去ログ - モバP「表裏比興の三枚目」 -SS速報VIP

過去ログ - モバP「表裏比興の三枚目」

↓ 1- 覧 板 20

122: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/08/18(月) 02:17:31.52 ID:tQB8zOOpo
『……護ってくれた人ですから』

　今でも忘れません。初めて出会ったあの日を。一人、プロダクションの場所を探してあ歩いていた、あの路地裏の暗さを。

　そして、私を庇って、前にでてくれたその後ろ姿を。

以下略

123: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/08/18(月) 02:17:57.77 ID:tQB8zOOpo
「そうか、じゃあ気を付けて、な。ところで――」

　パパは少し言葉を区切ると、目を細めながら私に問いかけます。

「アイドル活動は、どうだね。楽しいか」

以下略

124: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/08/18(月) 02:18:26.65 ID:tQB8zOOpo
………………

…………

以下略

125: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/08/18(月) 02:19:17.28 ID:tQB8zOOpo
「あー、比興プロダクションですかな？」

『はい、そうです。……何用でしょうか、シンデレラガールズさん？』

「わっはは、電話越しでもわかるかね？　だとすると、君に名前と顔を売ると言う私の第一目標は達せられているわけだ、重畳、重畳」

以下略

126: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/08/18(月) 02:19:51.18 ID:tQB8zOOpo
「それでだ、新田さんの話なんだがね」

『お断り申し上げると、お伝えしたはずですが』

「なに、今日が三度目なのでね。三顧の礼の故事に従えばきっと、来てくれると思ったのだが」

以下略

127: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/08/18(月) 02:20:32.67 ID:tQB8zOOpo
「君は、堅実すぎるのだよ、Pくん。君自身自覚しているだろうがね」

　社長は、手に持っていた雑誌を傍において、僅かに身を乗り出し、私の方をじっと見てくる。視線が、鋭い。何故か目を逸らすことが出来なくなる。

「君は博打を打たないが、僅かではあるが必ず利益を出す。どんな状況下でも元手の1.1倍を、君は必ず稼ぎあげる。そう言う人間だ。しかし、それゆえに決して大きくなることができない」

以下略

128: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/08/18(月) 02:21:15.04 ID:tQB8zOOpo
『それで……何を仰りたいのですか、社長は。強者であることをひけらかし、私が弱者であることを自覚させたいと？』

「君は疑心もなかなか過ぎるね。自分が弱者であると自覚していることは良いことだが、とらわれ過ぎではないか。生き抜くことに必死すぎる」

『当たり前でしょう。私は自殺願望を持っているわけではありません。日々生き抜くことさえ危ういのに、それさえ捨てろと？』

以下略

129: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/08/18(月) 02:21:47.76 ID:tQB8zOOpo
「しかし、君の特性を活かせる方法はある、Pくん」

『活かす……？』

「さっき、君はわずかながらでも利益を上げると、私は例えた。元での1.1倍を稼ぎあげると。そして、このプロダクションでは圧倒的に、稼ぎあげる事の出来る利益が少ないことも」

以下略

130: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/08/18(月) 02:22:15.08 ID:tQB8zOOpo
　言われた意味が分からなかった。その元手がないから、この現状だと言うことを彼は理解しているのだろうか。

　ただでさえこんな”やくざ”な仕事だ。実績もない芸能事務所に、銀行は出資なんてしてくれない。信用調査なんかされた暁には、めでたく申請不受理の書類が突き返される。

　かといって、個人で出資してくれる人なんていない。……いや、一人だけいるにはいる。だが――。

以下略

131: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/08/18(月) 02:23:13.77 ID:tQB8zOOpo
「純然な気持ちで、今度は冗談でない事を先に言っておこう。誰かのおまけでもなんでもなく、どちらが主でどちらが従でもなく。――私のプロダクションに、来ないか、Pくん」

　心臓が跳ねた。馬鹿らしい話に聞こえるかもしれない。それでも、何か直感のようなもの、私には無縁だったはずのそんな感覚で、理解をする。

（彼は本気だ。美波さんを手に入れるためでも、数合わせでも、気まぐれでもなく、私を勧誘している）

以下略

132: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/08/18(月) 02:26:24.86 ID:tQB8zOOpo
『……なぜ、私なのです』

　私は、そう尋ねた。理由を知りたい。そう思った。

「君は、自分の性質を良く理解している。しかし、それをうまく使えていない様に思える。環境や君の境遇も関係しているだろう。だから、こうして誘っている。君がもっと力を発揮できる環境を、整えてやれると思うのでね」

以下略

296Res/223.95 KB

↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。

VIPサービス増築中！
携帯うpろだ|隙間うpろだ