過去ログ - モバP「表裏比興の三枚目」 -SS速報VIP

過去ログ - モバP「表裏比興の三枚目」

↓ 1- 覧 板 20

144: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/09/01(月) 03:10:21.01 ID:1TLZYjBjo
（あまり、ご飯を食べてらっしゃらないようですから）

　そう思いながら、私は事務所への道を歩みます。

　そもそも、思い返してみると、私と一緒に何度か外食に行った時以外、プロデューサーさんがご飯を食べているところを見たことがありません。

以下略

145: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/09/01(月) 03:10:47.01 ID:1TLZYjBjo
（……って、なんだかお友達みたいになっちゃってますね）

　そんな、自分で苦笑を零します。

　恩人で、プロデューサーで、パパ以外に初めて仲良くなった男の人。

以下略

146: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/09/01(月) 03:11:14.72 ID:1TLZYjBjo
『……あれ？』

　事務所の前にやってきて、目に入ってきたもの。それに私は気付きます。

　プロデューサーが普段乗っていらっしゃる、プロダクションの社用車。それとそっくり――いえ、色違いと言って差し支えのない車。

以下略

147: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/09/01(月) 03:11:44.20 ID:1TLZYjBjo
………………

…………

以下略

148: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/09/01(月) 03:12:10.13 ID:1TLZYjBjo
「おい、君、一体何のつもりだね。社長とは言え、会社の金を勝手に持っていく事なんてあっていいわけがあるまい」

　なんとまあ、目を開けて前を見ると、シンデレラガールズの社長が、私の社長に食って掛かっているではないか。

　しかも若干、怒気をはらんでいる。こう、何というか、体から何か熱でも発しているのではないか、と思うほどのものだ。

以下略

149: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/09/01(月) 03:12:36.50 ID:1TLZYjBjo
　私は静かに社長を見据えた。しばらくそう睨み合っていた私とシンデレラガールズの社長だったが、諦めたように息をつき、

「まあ、君がそういうのなら、もう止めはしない」

　少し疲れた様な表情でそう言った。

以下略

150: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/09/01(月) 03:13:04.74 ID:1TLZYjBjo
『……今日は、お二人ともお帰り下さい』

「おう、言われなくともそうするさ。それよりも……」

　扉から離れ、こちらへと戻ってくる社長の姿を、私は見上げる。一体、何用だろうか。すでに話は終わったはずだ。

以下略

151: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/09/01(月) 03:13:30.60 ID:1TLZYjBjo
『そうさせていただきます、社長。とりあえず、本日はお帰り頂けますか。移籍の話も、なかったことに』

　私はそう伝えた。

　つい十数分前まで、現実的に存在した移籍の話は、これで消滅する事だろう。少なくとも、私に関することはもうないはずだ。

以下略

152: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/09/01(月) 03:14:04.66 ID:1TLZYjBjo
　と、何か思い出したように彼は振り返り、

「ああ、Pくん」

　と私を呼んだ。

以下略

153: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/09/01(月) 03:14:48.23 ID:1TLZYjBjo
（……きっと、軽蔑される事だろう）

　されない方がおかしい、と私は思う。現に、私はあの社長を軽蔑している。芸能プロダクションというのは、こういう使い方をする物ではない、と。

　それに関しても、私が言えることではない。その”本来の役目”と同じか、それ以上に卑怯な使い道――私の”目的”を果たすために、使用している。

以下略

154: ◆m03zzdT6fs[saga]
2014/09/01(月) 03:15:56.66 ID:1TLZYjBjo
『……借金を、返すためです。私は、あの社長に借金があるのですよ。結構な額の』

　僅かに、目を閉じる。ああ、軽蔑されるだろう、と思った。

　罵倒される事には慣れている。舐められることにも慣れている。そして、軽蔑される事にも。

以下略

296Res/223.95 KB

↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。

VIPサービス増築中！
携帯うpろだ|隙間うpろだ