過去ログ - モバP「葡萄酒の香りに誘われて」
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3: ◆KVGFhiWeYqWl[saga]
2014/07/07(月) 10:29:02.10 ID:eAP+ZVJQ0
「…ねぇ、聞いてる?」
その声で思い出から現実に戻る。スケジュールを確認して、今日は予定が空いてないと志乃さんに伝える。
「そう……楓さんはどうだったかしら…」
眉を寄せてそう呟いた志乃さんは、顔を背けてグラスに残っていたワインを一気に飲み干した。これまでの付き合いで判明した志乃さんの不機嫌であるサインだ。
そして勢いよく立ち上がると彼女は、
「レッスンの時間だから…行ってくるわね」
と、まっすぐブレない歩みで事務所を出て行った。今思うと、あの人が酔って千鳥足になったところを見たことがない。
そして、志乃さんが不機嫌なままレッスンに行ったということは、またトレーナーさんが犠牲になるかもしれない。
以前志乃さんがレッスンのときにワインを飲んでてトレーナーさんに注意されたときはしれっと
「これはスッポンの生き血よ。スタミナがつくからあなたも飲んでみる?」
なんて言ってトレーナーさんに飲ませて酔わせてレッスンがままならなくなったときがある。
「まぁ…赤ワインで割ってあるのだけどね?」
と、飲んでから補足した志乃さんを見たトレーナーさんは、後日僕に言った。
「最近、志乃さんによくお酒を飲みに行くお誘いをされるようになりました…悪いことではないんですが……」
トレーナーさんはどうやら志乃さんに気に入られたらしい。羨ましい。
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