過去ログ - モバP「葡萄酒の香りに誘われて」
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5: ◆KVGFhiWeYqWl[saga]
2014/07/07(月) 15:56:18.25 ID:eAP+ZVJQ0
「じゃあ私、そろそろ帰りますね」
楓さんがとうとつにそう言ってソファから立ち上がった。あれ、今日は志乃さんと飲むのではなかったのだろうか?
「そうね…楓さん、付き合ってくれてありがとう。楽しかったわ」
志乃さんがそう言ったので、やはり今日、楓さんと志乃さんの二人で飲む予定はないらしい。
楓さんがゆるく手を振りながら僕の横をすり抜けて事務所から出ていく。これでこの事務所には二人だけとなった。
志乃さんがもったいぶってゆっくり帰り支度してるのを見ながら僕は変わらずキーボードを叩き続ける。
「ねぇ、Pさん。私も出るけど…いえ、なんでもないわ……お疲れ様」
支度を終えた志乃さんが楓さんと同じように僕の横を通り過ぎた。
そのとき、葡萄酒の香りがはなをくすぐって、思わず僕は志乃さんを呼び止めた。
朝に誘われたときから予想はしていたが、僕が志乃さんからのお誘いを断り切れるわけがないのだ。
呼び止められた志乃さんは、こちらを振り向いてから数度まばたきしてから
「じゃあ……行きましょうか」
と、いつもの調子を装いながら言った。そして事務所からは誰もいなくなった。
最後に、事務所から出たら口元に手を当てて笑う楓さんが僕たちを見ていた。
おしまい。
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