36: ◆rNqPl/b1mU[saga]
2014/07/10(木) 01:18:18.41 ID:EbYXL73f0
「嘘だろ……何なんだよこれ、嘘だろ!?」
「ふざけるな! 出せ! ここから出せよ!!」
「こんなの困る! このあと約束があるのよ!」
「嫌あぁ! 帰して! 帰してよおぉぉ!」
悲鳴、怒号、絶叫、罵声、懇願、そして、咆哮――。
たった数十分でゲームプレイヤーから囚人へと変えられてしまった人々は、頭を抱えてうずくまり、両手を突き上げ、抱き合い、あるいは罵り合った。
クライン「…………無理もねえ。あんなこと言われて、こんな仕打ちをさせられちゃあ、誰だって認めたくねえよ……」
キリト「悔しいが……これが現実だ。横尾の言葉は、全て事実だ。あの男なら、これくらいのことはする。してもおかしくない。そう思わせる破滅的な天才性が、あの男の魅力でもあるんだ」
クライン「キリト……」
キリト「俺もお前も、数ヶ月、あるいは数年、現実世界には戻れない。家族の顔を見ることも、会話することもできない。ひょっとしたら、その時は永遠に来ないかもしれない。この世界で死ねば――」
クライン「お……おい! ろくでもないこと言うんじゃねえ!」
少し半泣き顔になったクラインが、俺の前に詰め寄る。
だが俺は、それに動じることなく、言葉を続けた。
キリト「……生き残るぞ、クライン。でなきゃ、俺達は一生、本物の飯を食うことも、本物の土も踏むこともできないからな」
クライン「あ……ああ! 絶対に生き残ってやる! 俺もおめぇも、必ず!!」
こうして、2022年11月6日、世界史上初にして最悪のデスゲーム、≪ドラッグオンドラグーン≫は幕を開けた。
だが、俺達はまだ、この時知る由も無かった。
横尾太郎が最後に口にした、“圧倒的な絶望”こそが、このゲームの本質だということを――。
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