57: ◆rNqPl/b1mU[saga]
2014/07/13(日) 22:41:14.66 ID:eeTLF2zo0
アスナ「ボス攻略から逃げ出すプレイヤーも出てる。でも、敵に見つかって結局は……」
キリト「…………追い討ち、か」
エギル「もう逃げ場はねえ。ここまで来たら、残ってる奴ら全員だけでも城へ行こう」
キリト「ダメだ。城周辺の敵を一掃しなければ、城内のボスは姿を現さない。それに、城へ入るには鍵が必要だ。その鍵も、城門前を守っている≪重鎧兵≫を2体倒さないといけない」
アスナ「……その情報、どこで知ったの?」
怪訝そうに、アスナが訊いてきた。
しかし俺は、自分がベータテスターであることは伏せて、あくまで冷静に答えてみせる。
キリト「……ある情報屋から買ったのさ。高い金を出してね」
アスナ「そう……」
エギル「と……とにかく、ここいらの敵を全滅させなきゃ、ボスにも辿り着けねえってことだろ?」
キリト「そういうことだ」
エギルが軽く舌打ちをし、アスナはその華奢な手を強く握りしめる。
苦しいが、二人とも――そして俺も、やることはわかっているはずだ。
キリト「……城の中にも敵はうじゃうじゃ潜んでいる。俺が重鎧兵を片付け、城内の敵を掃討するから、二人はそれまで持ち堪えてくれ。城の屋上にある投石砲台を確保できれば、安全かつ効率良く敵を倒せるしな。中の安全が確認できたら、メールチャットで知らせる」
エギル「一人でか……!? 無茶だぜそんなの! また今見てえに助けに来れる保証なんてねえぞ!」
アスナ「単独行動は危険よ。あなただって、それくらいわかってるでしょ?」
キリト「……」
そんなことは百も承知だ。
だが俺は、この二人を、そして他のプレイヤーを、更なる危険に晒したくはない。
意を決した俺は、きっぱりと言い放った。
キリト「……死なないさ、俺は。まだ、こんな所でくたばるわけにはいかないからな」
エギル「ちょっ……待て! おい!!」
アスナ「……」
叫ぶエギルの声の残響を背後に、俺は城門前まで駆けて行く。
これまでにない、得体の知れない衝動が、俺をせきたてていた。
61Res/38.32 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。