過去ログ - 阿良々木暦「かなこエレファント」
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/09(水) 18:47:41.95 ID:HorbTFBDO

「あーん」

喜色満面で口を開ける。
少々恥ずかしかったが、僕の羞恥心などひたぎとの愛の前には些末な問題でしかない。

間もなく口内にショコラ味のケーキが放り込まれる。
ほろ苦いショコラと甘いスポンジの感触がえも言われないハーモニーを醸し出していた。

「美味しい? ダーリン」

「美味しいよ、ハニー」

僕とひたぎが形成する桃色空間に対し、周囲の女性の方々から爆発しろとテレパシーが送られてきている気がするが気のせいだろう。
と、その視線を寄越す衆目の中に見知る顔があった。

「……プロデューサーさん?」

「……だよね、人違いかと思ったけど」

三村と十時だった。
どうやら僕の死角、真後ろにいたらしい。僕の真後ろならばひたぎにとっては丸見えだったということだ。

「三村、十時……何故ここにいるんだ」

ギギギと音を立てかねない程重厚に、首を九十度回転させる。
首傾げすぎランキング二位のひたぎにも負けていない。
ちなみに一位は言うまでもなく鉄板で斧乃木ちゃんだ。

「今日はかな子ちゃんと動物園デートしてきたんですよ」

なにそれ、僕も行きたかった。
ひたぎも連れてダブルデート。
素晴らしい響きだ。

「で、おなかも空いたので、前から来たかったここに来たんです」

「いつから……見てた?」

そこが問題だ。
返答とその後の反応次第では、彼女たちを亡き者にしなければならないかも知れない。

「ほぼ全部、でしょうかね」

「愛梨ちゃん、お邪魔しちゃダメだよ……」

三村は一応気を遣ってくれているらしいが、その気遣いも今は痛い。

というか……これが狙いか……。
ひたぎを見ると、心底楽しそうな笑みを浮かべている。

「でもプロデューサーさんの意外な一面だよね!」

「確かに、プロデューサーさん、ホモ疑惑があるくらいだもんね」

「あらまあ」

「何その迷惑な疑惑!!」

「だって常にあんなに多くのアイドルと一緒に仕事してて、そういう噂を一切聞かない、ってある意味異常だよ?」

いや、そもそもそんな噂あってもらったら困る。
担当アイドルに手を出す程、僕は外道には落ちていないつもりだぞ?
いや、コミュニケーションのために物理的に手を出すことはあるけどね。
それはそれ、これはこれ。

そんなことよりもホモ疑惑って!
犯人は大西か!?

「神原が全裸で喜びそうな噂ね」

「全裸で喜びそう、って何だよ……」

恐らくは裸足で逃げ出すの語形変化なのだろうが、全く違和感がないのが神原の日頃の行いを物語っているな……。



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