過去ログ - 阿良々木暦「かなこエレファント」
↓ 1- 覧 板 20
27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/09(水) 19:11:10.10 ID:HorbTFBDO
004
今日は千川さんも早目に帰宅したらしく、事務所に灯りはなく、入口にあたるビルの前に三村はいた。
見た感じでは昼間と何ら変わりはないようではある。
が、こんな夜に僕を呼んだのだ。
何かはあったのだろう。
「悪い三村、待たせた」
「プロデューサーさん……」
「何が、あったんだ」
ゆっくりと、それでいて三村を動揺させないように出来得る限り優しく訊く。
万が一のことも考えて忍にも話はつけてある。
いざとなったら吸血鬼化も厭わない。
僕がプロデューサーである以上、担当アイドルは、何があろうと僕が護る。
三村は深刻な表情をそのままに、その柔らかそうな唇を開いた。
「その……た、体重が」
「……体重?」
「増えてしまいまして……」
「…………」
うん。
そうか、それは大変だ。
体重が増えてしまうとは一大事に違いない。
そうかそうか。
「帰る」
「待ってくださいプロデューサーさん! お話を……!」
三村が踵を返す僕の服の端を掴む。
と、ずん、と地震が来たのかと思わせる程の衝撃が身体全体を伝う。
「いいっ!?」
「きゃあ!?」
視界がくるりと入れ替わる。
気付けば、僕は仰向けに倒れていた。
背中に疼痛を感じる。
どうやら僕は、三村に渋川先生よろしくその場で『ひっくり返された』らしい。
だがそれは三村が実は合気道の達人だった、なんて衝撃的事実があった訳ではない。
僕は、もの凄い力で地面に叩きつけられたのだ。
「三村、体重計に乗ってみろ!」
「え……ええ!?」
すぐに起き上がり事務所の鍵を開ける。
急いで持って来るのはアイドルのプロフィール作成に御用達の体重計だ。
そこまで必要だとは到底思えないが、250kgまで量れる優れものである。
アメリカンな人達への配慮だろうか。
47Res/59.86 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。