387:名無しNIPPER[saga]
2015/01/04(日) 04:24:02.40 ID:6yjJXh2i0
いつも食っている弁当。普段は特に何も思わずに食べられるのだが、今日だけは何故か箸が進まなかった。
食べなくても、過去に何度も食べさせられた馴染み過ぎた味。
湿った衣の唐揚げ。玉葱の甘味もしないハンバーグ。小麦の味が強いスパゲッティ。
先程から味を感じなかった。飲み込むにも喉が無理やり押し広げられているようだ。あの電話のせいか。
昨日かかって来た電話の希薄さを思い出す。そうして視線を落とし、また弁当を見つめる。
この馴染み達に、妙な嫌悪感が湧いた。
「でも、やっぱ――は変わってるな」
「別に、変わっちゃいないさ。今日は何か、こういうのが喉を通らないだけだ。
それにこういうのを毎日食うのはアレだ。いくら好きでも飽きるってものさ。
お前も試してみろ、ずっとこればっか食えって言われたら嫌だろ?」
「あー……まぁ、な。――が言う通り、たまににしとく」
「それが良い」
「あ、なぁなぁ。その余った唐揚げ貰っていいか?」
「ん? あぁ良いぞ。好きなだけ持ってけ泥棒」
「へへ、サンキュー」
晴は差し出した弁当から唐揚げをつまみ、一口で頬張った。
何度か噛み締めてそのまま飲みこんでしまった。
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