過去ログ - エリカ「あなたが勝つって、信じていますから」
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155:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/26(土) 00:30:40.50 ID:ZPCws2+10
 翌日の昼下がり。

「おいしい水でいいの? エリカさん」

「ええ」

 ガコンと、タマムシデパート屋上の自動販売機はサイコソーダが入った缶ジュースとおいしい水が入った缶ジュースをはき出す。

 レッドとエリカ並んで二人ベンチに座り、缶ジュースを空けて口につけ、そして空を見上げた。

「今日は有難うエリカさん」

「いえいえ。私も楽しかったですから」

 エリカに案内されて多くの買い物をしたレッドのカバンはパンパンだった。後で整理しないといけないだろう。

 買い物の最中はいつも楽しく会話して時を忘れるほどだったが、今は二人沈黙している。しかし決して居づらくはない。お互いがそばにいる、それだけで安心できる時間。

 しかし、それももう長くはない。レッドの旅は、やっと折り返し地点に差し掛かったばかり。

 エリカはそれを十分に理解していた。名残惜しい気持ちを誤魔化さず、レッドへ言葉を紡ぐ。

「あなたがタマムシに来る前にタケシやカスミ、マチスさんから連絡が来た時は驚きました。熱くて面白いトレーナーが来たと。タケシにはあなたの差金かと冗談交じりに言われ、カスミには何故かライバル宣言されてしまいましたが……」

「そんなことが……。なんか、恥ずかしい」

「どうして?」

「いや、結構ギリギリの時のほうが多かったから。今思えば、もうちょっと皆の気持ちに応えられたかなって」

 レッドは腰のモンスターボールを軽く叩く。

「ジムバッジを得られたのだからもっと胸を張っていいんですよ。じゃないと、まるでバッジを託した私達が見る目がないみたいじゃないですか」

 エリカが目に見えて拗ねる。

「ごっごめんなさい!! そんなつもりは……!」

「ふふっ、冗談ですよ。あなたのもっと強くなりたいって想い。わかってますから」

「……はは、敵わないな」

 お互いが笑みをこぼし、ゆるやかに静寂が訪れる。

 寂しげな一陣の風。もう、行かなくてはならない。


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