過去ログ - エリカ「あなたが勝つって、信じていますから」
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188:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/29(火) 23:05:58.76 ID:+HCMrRvb0
「当の本人もそれなりに考え、先んじてロケット団に入ることで中から暴力の抑止力になろうとしたのだろう。あくまで傷つく人間が少なくなるようにな。はは、殊勝なことだ」

「……ごめんなさい」

 ナツメの謝罪は消え入るような声だった。

 レッドの握られた拳は震えている。

「さて、ここまで来たらナツメが君をロケット団に入るよう説得しそうなものだが、それも無駄だと未来視で見えているようだな。ナツメの顔を見る限りは、結果ももうわかっているのかな。どうする少年? それでもバトルをしたいというのなら」

「ナツメさん、質問があります」

「え?」

 レッドはサカキを黙殺した。虚をつかれたナツメがつい声を上げる。

「あなたの未来視は、百発百中なんですか?」

「……そうよ。生まれてきてから今まで、外れたことはないわ。レッド君は、負ける」

 ナツメが顔を上げる。レッドを見つめるその表情は、レッドを心底心配している、優しい女性のものだった。

「お願い。いたずらに傷つく必要はないわ。私がサカキに口利きするから、どうかレッド君も……」

「ナツメさん。あなたは優しい人だ。フーディンとバリヤードを見ていればわかります。俺がこの旅で学んだことは、ポケモンと硬い絆を結んでいる人に悪い人はいないということ。そしてもう一つは」

 レッドが帽子をかぶり直し、モンスターボールを手に取る。

「ポケモントレーナー、それはポケモンと人との絆で、不可能を可能にする人を言うこと。あなたが自分の中の未来視に屈したというのなら、俺が代わりに証明します。超えられない壁はないということを!」

「レッド! 駄目!」

「止めるなよナツメ殿。この少年には私も借りがあってね。どの道バトルは避けられん」

 レッドとサカキ、対峙した二人モンスターボールを構えて睨み合う。

「エリカ嬢は息災かな? もうショックから立ち直っているといいが」

「あんたは人もポケモンも見くびりすぎだ。あんたの言うとおり、俺は人を疑うことを知らなかった。だが、あんたが知らない価値あることを俺は知っている」

「ほう? なんだね? 絆とでも言うつもりか?」

「言うつもりさ。わかっていながら見下して笑うのなら、俺が今一度気づかせてやる。俺と、俺の仲間と! このポケモンバトルで!」

「相変わらず口だけは一丁前だ。面白い! ロケット団リーダー、サカキ!」

「…………ポケモントレーナー、レッド!」

 二人の声が重なった。

「「バトル開始!!」」



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