過去ログ - エリカ「あなたが勝つって、信じていますから」
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[saga]
2014/08/03(日) 00:38:22.45 ID:cwKbWwke0
サイクリングロード。そこはタマムシシティから西南へ降った半島の先から、海上に架かってセキチクシティへの道を繋ぐ二輪車専用橋。
橋そのものがセキチクシティへ下る坂状になっており、タマムシシティからセキチクシティへ向かう自転車搭乗者はペダルをこがずに一気に抜ける事ができる。
「おー!!」
レッドも多くの利用者の例にもれず、自転車に座っているだけで風を切ることができる楽しさに興奮していた。海上を通っているだけあり、自転車から見える景色はまるで空を飛んでいるかのような光景だった。
(そういえば、こんな場所に暴走族ってどういうことだろう? この坂では皆坂に身を任せてスピードを出すだろうから、暴走も何もないと思うけど……。でも、あんな怪我をしたあとだ。気を引き締めて行こう。もう、仲間達に心配かけるわけにもいかないしね)
そんなレッドの気の引き締めは、無駄に終わった。レッドが降っていた先、自転車の前輪の高さに合わせて張られたワイヤーが、猛スピードで来たレッドの自転車にひっかかる。
「へ」
レッドが見る景色が空に舞い上がり、逆転した。自転車がワイヤーによって空に跳ね上がり、乗っていたレッドもまた、自転車のサドルから大きく上方に投げ出される。
幸か不幸か、レッドが投げ出された場所は走者が緩やかに減速するためのカーブ地帯。レッドは自転車と共に落下防止柵を高々に超えて海上に投げ出され、どぼんという水音と共に気を失った。
(ん……あれ……? ここは……)
潮の香りと共に、さざ波の音が聞こえる。また、レッドがいる場所がゆらりゆらりと揺れていた。海上に浮かぶ小舟だった。
「気がついたよ、ちちうえ」
「!? え……」
レッドの顔を覗いていたのは覆面の忍び装束の少女。高い声とレッドよりも低い背丈、その少女が小舟の先端に立つ人物へと報告する。
「うむ! お主。怪我はないようだな」
落ち着いていて少ししわがれた男性の声だった。しかし、少女と同じく彼も覆面、忍び装束を着ている。レッドは状況を把握した。どうやらサイクリングロードから海に投げ出され、彼らによって救われたのだろう。
「助けていただき、ありがとうございます。あ、俺の荷物……」
「ここだよ」
少女がレッドの寝ていた横を指さす。荷物は水に濡れているが、中を荒らされた形跡はない。自転車も無事だった。
「あの、あなた達は……」
「すまぬな。お主をすぐに陸へ届けたいところだが、拙者達の用事がすんでからとなる。今は体を休めておくといい」
「え、ええ。あの、どうして覆面を?」
「あたいたちにも、事情あるのだ!」
少女が舌足らずなしゃべり方で胸を張る。覆面の男は特に反応しなかった。
(答える気はないってことか……。悪い人たちじゃあなさそうだけど。仕方ない、今は言うとおり体を休めとこう)
ピジョットを使って空をとぶ事も考えたが、現在地がつかめない場所でいたずらに飛ぶのはかえって危険だと思い直し、レッドは目を瞑った。
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