過去ログ - エリカ「あなたが勝つって、信じていますから」
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312:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/08/18(月) 23:17:35.72 ID:DEs+5Sot0
 レッドがエリカを見上げて微笑む。

「一緒に隣に座らない? エリカさん」

 するとエリカは苦笑して、

「せっかくですけど、服が汚れてしまいます」

 やんわりと断った。レッドも「しまった」と言いながら苦笑する。しかし、薄目を空けたフシギバナが助け舟を出す。

 フシギバナの背中の茂みから無数の葉っぱが放出され、レッドの横に降り積もっていく。ほどなくちょうど二人分座れる広さの葉っぱのベンチが出来上がる。

 レッドが立ち上がってそのベンチをぽんぽんと叩いて具合を確かめ、今度は無言で笑みを浮かべながらエリカを手招きする。

「ふふ。では……」

 エリカもつられて微笑んで了承した。傘をたたみ、レッドの手を取って二人並び座る。手を繋いだままレッドはエリカに顔を向けた。

 互いの瞳の色がはっきりとわかる。レッドは言葉を紡ぎ出す。

「ちょうどエリカさんに会いたかったんだ。来てくれて本当に嬉しい」

「ええ。私も……。なぜ来たかは、聞いてくれないんですか?」

「ええと、オーキド博士になにか? でも、俺に会いに来てくれたなら、すごく嬉しいな」

 二人の距離が、少しずつ縮まる。

「あなたに会いに、ここまで来ちゃいました。手紙の状況から、そろそろかなって」

 レッドの頬がわかりやすく紅潮する。エリカはそんなレッドの反応を楽しんでるようだった。

 しばらく雑談した。ポケモンのこと、手紙に書けなかった旅の細やかな事。タマムシシティとジム、エリカの近況。

 しばらくして言葉が止まった。レッドが、なにか言いたそうだった。エリカも敏感にそれを感じて、レッドが言葉を紡ぎだすのを待つ。

「……今まで色んな事があって、俺自身強くなれたかどうかは、正直分からない。でもあの時、この場所から、ちゃんと自分が進みたい道を進めてる。皆が助けてくれたから」

「……」

 エリカは黙って聞いてくれている。レッド自身、言葉の整理がついていない。だけど、エリカに伝えたい想いがあるのは確かだった。

(うまく、言えるだろうか)


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