過去ログ - エリカ「あなたが勝つって、信じていますから」
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319:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/19(火) 22:43:37.78 ID:8o6lC1eK0

「なにか、心配事でも?」

 笑顔をなくし引き締まった顔をしたレッドを見かねて、エリカが至近距離でレッドの瞳を覗き込む。心底心配しているようだった。

「……大丈夫、ありがとう」

 レッドはエリカを心配させまいと微笑みで返し、エリカの左の頬を手のひらで包む。

「無理をなさらないでくださいね……本当に……」

 自身の頬に添えられたレッドの手の上に自分の手を重ねながら、柔らかな笑みを浮かべるエリカ。お互いに甘い雰囲気が流れ、見かねたレッドの母が一つ咳払いして二人をびくりとさせた。

 数刻後にはレッドは母親に出立を告げ、エリカもマサラタウンの端まで見送りにきた。 

「お気をつけて……と、なんだか見送ってばかりですね」

「幸運に思うよ。好きな人に笑顔で見送ってもらえるんだから」

 レッドはこと好意を告げることに関して羞恥を知らないらしい。エリカもレッドが冗談やこちらの反応を面白がるために言っていないことがわかるから、余計に嬉しさやら恥ずかしさやらで顔を俯かせてしまう。

 エリカの顔は赤い。口が嬉しさで妙に歪んでしまうのをなんとか耐える。

 表情と気持ちを整えると、エリカはレッドに真摯な面持ちで声かけた。

「先に行って待っていますね。そう日を置かずあなたが来るって、信じていますから」

「はい……。行ってきます」

 レッドは帽子を脱いで一礼した。そして振り返らずにトキワシティへの歩みを進めていく。

 二人想いが通じあった仲だからこそ、今はこれでよかった。エリカはレッドを信じている。

 レッドは自分が進む道を見失っていない。

 カントージムバッチ最後の難関がこの先で待っている。


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