過去ログ - エリカ「あなたが勝つって、信じていますから」
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417:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/09/21(日) 18:42:52.94 ID:Z03kpI3k0
 レッドの表情の変化。それに気づいた多くのレッドを応援する人々。

「レッド、降参するなら待ってやるぜ!」

 リザードンをフシギバナへ向かわせながらグリーンが叫ぶ。だがレッドは帽子のつばを指で弾いて跳ね上げ、言葉に闘志を込めて放った。

「俺は決して諦めない。俺の一つ一つのバッジに込められたポケモントレーナーの魂が、あきらめようとする俺の心の背中を押してくれている。俺と仲間達の心と体を炊きつけて大炎となり、唸りを上げている!」

 そうだ。何故業火に包まれながらもバタフリーはどくどくを正確にリザードンに当てた。

 何故ギャラドスは傷ついた体を奮い立たせてハイドロポンプを放った。

 何故ガラガラは相手を傷つけるでもないレッドの指示を疑わなかった。

 何故ラッタはレッドが言葉にしなかった岩陰の奇襲戦法を行った。

 ピジョット。グリーンに初勝利するに至った最大の功労者。此度ピジョットが見せた最後のガッツでオニドリルと相打ったのをもう忘れたか!

「そうだよな、フシギバナ。この心意気と記憶、体中についた傷とその再生が導いてくれた一筋の栄光への道。俺達は決して歩みを止めたりはしない!」

 レッドの脳裏に点在する勝利への戦術点が雷光の如く線でつながっていく。

(バタフリーがもたらした猛毒、ギャラドス、ガラガラ、ラッタが削ってくれた体力。フシギバナの一撃ならば、きっと。いや、必ず!!)

「フシギバナ、みがわり!」

「リザードン、かえんほうしゃ!」

 フシギバナの身代わりが一瞬で蒸発する。しかし何とかフシギバナは自身を覆う大きさがある岩まで走り身を隠した。

 限界まで時間を稼ぎ一撃を狙う。フシギバナの最後まで勝利を狙う動きに、会場のボルテージが限界を突破する。

 岩場でフシギバナが再び身代わりを作り出す。体力的に最後の身代わりだった。

「レッド、来いよ。全部ひっくるめて叩き潰してやる」

 グリーンの声がレッドに届いた。レッドはフシギバナと視線を交わして頷く。そして、フシギバナが岩場から姿を表した。

(レッドのフシギバナの身代わり。あれはソーラービームを貯めるための身代わりだ。観客たちもお前も奇跡を望んでる。だがなレッド、どう計算したって削り切れないぜ。口惜しいが、ノーチャンスだ)

 グリーンの思考と同じ答えを出したトレーナーは多くいた。ワタルやキクコはもうグリーンの勝利を確信しているし、観客席で見つめるカツラもまた、炎ポケモンのスペシャリストである自身の知識からリザードンが耐えることを確信していた。だがカツラはその確信を覆す奇跡をレッドに願っている。

 リザードンの牙から炎が漏れだし、フシギバナが背中を揺らした。お互いにもう、命令を待つだけ。

 グリーンとレッドが叫ぶ。

「かえんほうしゃ!」

「はっぱカッター!」

『!?』

 レッドは血迷ったのか。グリーン含め多くの人間がそう思った。身代わりがあるこの局面、なぜはっぱカッターを?


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