38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/16(水) 18:24:45.73 ID:TmyX6+Eao
あるとき山越えでドジを踏んだ。
地面の窪みに気づかずに足を挫いたのだ。
あまりにひどくひねったのでそこから一歩も動けなくなった。
食料は最低限しかなく防寒の準備も十分ではないのに雪が降りそうな空模様だ。
死を覚悟した。
青年が追いついてきたのはそんなときで、衰弱した自分を見つけて急いで看病してくれた。
熱で浮かされていてその時のことはあまり覚えていない。
ただ一緒の毛布にくるまって星を見ていたような気がする。
こちらの背中をさすりながら、安心できるように子守歌を歌ってくれていた。
ところでね。
彼が言った。
君と一緒にいたいのは、不思議な体験をしたいからじゃないんだ。
じゃあなに、とうわごとのように問うと、彼は照れくさそうに頭を掻いた。
なんだろう、一目惚れかな。初めて会った時から君のことが忘れられなくて。
自分はそれになんと答えただろうか。
覚えていない。
ただ、その後一緒に旅を続けて、数か月後にある村で夫婦の契りを結んだ。
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