過去ログ - 「なんてこと……なんてことしやがる……ッ!」
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おじさん
◆nlCx7YJs2Q
[saga]
2014/07/14(月) 00:44:45.96 ID:4ENc1A5go
やはりというか、父は私の事を見つめていた。
だがこの時ばかりはそんなことに眼もくれず、今と同じように、一心不乱にラーメンを啜っていた。
何より嬉しかったのだ。
あの怖いと思っていた、料理などしないと思っていた父が、自分の為に手間を割いてこんなにおいしいものを作ってくれたということが。
思いは溢れ、私は父に言った。
「お父さん、凄くおいしい!」
「……ふん」
あれから二十年以上経っているが、あれほど旨いラーメンは食べたことが無い。
そしてあの時、いつもの面白くなさそうな言葉とは裏腹に、父は私に笑顔を向けていた。
あの時は父は何が可笑しかったのかわからなかったが、妻帯し、子どもが生まれた今ならわかる。
我が子が食事を取る光景は、何物にも変えがたい、親にとって最高の幸福を感じられる時なのだと。
あの眩しい笑顔は、食事中の私を注視するのは、そういうことなのだ。
私はあの父に愛されていたのだ。
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