過去ログ - 泰葉「私が人形と呼ばれる訳」
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17: ◆7SHIicilOU[saga]
2014/07/14(月) 20:06:53.45 ID:tzQxSdFRo

「なにをそんなに怯えてんのさ」
「っ!」
「裏切られるのが怖いから信じない? 馬鹿じゃないの?」

 呆れたような声にカッとなった。

「あなたになにがわかるの!? なにも知らない癖に!
 プロデューサーが裏切らないってなんの根拠があるのよ!」

 やっちゃった。とすぐに思った。
当たり障りなく生きてた筈なのに、
距離をとって、刺激しないように立ち回ってたはずなのに。

 ――ほら、目の前の小動物が、まるで獅子のよう。

「……ふざけんなよ」

 ゆらり立ち上がった彼女は、
わかりやすく怒っていた。
10cm以上の身長差すら、感じられない。

「知って貰おうとしたの? 知る努力はしたの?」

 私の失言に、彼女は静かに言葉を紡ぐ。

「お前は”私”の何を知ってんだよ。”あの人”の何を知ってんだよ。
 悟ったみたいな顔して逃げ回って、真面目にアイドルやってる振りをして、なぁ?」

 いつも眠そうにさがった目じりは、今は鋭く私を射抜く。

「舐めんな! あの人を侮辱すんのは私が許さねぇぞ!
 大嫌いだよ! お前みたいな死ぬまでの暇つぶしに生きてるみたいな奴が!」

 驚いた。まさか、彼女がこんなに怒るなんて、思いもしなかった。
まさか本気でアイドルやってるとは思ってもみなかった。
なにも、見てなかった。気がつかなかった。

「……芸暦はともかく、あの人との付き合いは私の方がずっと長いよ。
 あんたがどんな風にこの業界を生きてきたのかも知ったこっちゃ無い。
 でも、ここのみんなは本気でアイドルやってるし、みんなあの人を信じてる。
 それは、根拠にならないの?」

 私はなにも、答えられなくて。

「……なにやってんだお前ら」

 そこにプロデューサーがやってきた。


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