過去ログ - 【安価&コンマ】新たな魔法使いが生まれた【仮面ライダーウィザード】
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[saga sage]
2014/09/18(木) 00:09:40.89 ID:cdhk2EFs0
「ご〜〜め〜〜ん〜〜で〜〜も〜〜あり〜〜がぁ〜〜とぉ〜〜」
まるきっり悪意のない様な笑みで、両手を合わせ、カラステングに謝り、礼を言う緑色の怪人。
緊張感もへったくれも無い、ある意味での純真さすら感じさせる緑色の怪人に、カラステングは既に諦めたかの様に、一息つく、が。
前門に天狗、後門に緑色の巨人と得物を持つ怪人達に挟まれる形となった、二人は気が気でない。
天狗も巨人も怪人達も、人間を大きく上回る能力を持つ、加えて、浅いとは言え守屋は左腕に怪我を負った。
――とても、先峰を守り切り二人が揃って脱出を、と言える状況ではない。
「まさしく……絶体絶命、万事休す、だよね?」
「そう言う事をお答えするのは、なるべく控えているんですが……その通りです」
ダウンジャケットのチャックを上げ、現在の状況を呟く先峰に、守屋は仕方なしに答えた。
それは、もはや嘘を交える必要が無いほどに二人が追い詰めている事を嫌でも、"彼等"に示されている事を意味していた。
――警棒を構える右手が悔しさに震える、打つ手がなかった、思いつきもしない、けれど、最後の最後まで、諦めたくはない。
「そっか――そう、だよね」
「でも、まだ終わってません……諦めませんよ最後の最後まで、僕は諦めない」
「――――っ」
「一緒に……足掻きませんか、?」
この時、守屋の瞳を見たのは、この場で二人――否、一人と一体。 "先峰 灯"と"カラステング"。
震えを隠せない守屋の姿に先峰は、一つため息をつき、カラステングは"ニヤリ"と口元を釣り上げる。
――ほんの少しの距離、二三歩歩けば触れられる距離、一つ触れれば、一つ、優しい言葉を掛ければ、お互いに安心するんだろうか?
けれど、けれど……それよりもまず、心の内から湧き上がる感情を、吐き出したい。
「守屋さん、何度も言ってるでしょう? 頑張るって、私のこの気持ちは一ミリたりとも動かないよ」
「先峰――」
「でもこれから勝手な事をします、ごめんなさい」
「えっ?」
すると、先峰は一歩前に出て、二体の怪人達に一人ずつ目線をやり、大きく息を吸い始め――
「私達は逃げますっ! 逃げて生きて帰る! 貴方達なんかに私達は殺せない! ぜぇぇぇぇぇぇたいにっ!!」
思いの内をぶちまけた。 その後に、簡単に言ってスッキリとしたのか「ふぅ」と息をつく。
突然の先峰の行動に、周囲の反応は様々だ。 守屋は呆気にとられ、緑色の怪人は首を傾げ、灰色の怪人達は気にも留めず、
唸り声を上げる。 ただ、カラステングだけは笑いを零しながら、両の手の刀を離すと、二刀の刀が風に包まれて、消えた。
そして、懐から一枚の葉っぱを取りだし、口に当て鳴らす。 すると、緑色の怪人の前方で得物を構えていた灰色の怪人達が一転、
無気力に頭をガクンと下げ、得物を握る手も緩めた。 この事に緑色の巨人が戸惑いの一言を上げ、カラステングを見やると。
案ずるなとばかりに空いていた手で制される――先峰は、これをチャンスと見た。
「守屋さん、逃げよう!!」
「は、はいっ!!」
「あ〜〜〜〜!?」
これを好機と見て、二人は一目散に駆け出した。 逃げていく二人を指さし、緑色の怪人が慌ててもう一度カラステングを見やる。
すると――カラステングが草笛の音色を変えた。 違う音色を受け、灰色の怪人達は無気力状態から一転、
みるみると気力を取り戻し、その場から跳躍、着地したと思えば素早く駆け出した。 先峰と守屋を追跡させたのだ。
先程までの、ゆったりとした慌てようは何処へやら満面の笑みを浮かべ、カラステングを見る緑色の怪人。
手に持ったバカ長い棍棒も怪人の喜びに合わせ、上へ下へと忙しく動く。 その様子にカラステングはまた、一息ついた。
「"ゴブリン!!""グール"共は俺が動かすっ、お前は"全力"で"男"の方を殺せ!!」
「あれ〜〜使って〜〜いいのぉ〜〜? お〜ん〜な〜は〜?」
「女はなるべく生かせ、後で用がある。 "アレ"については構わんっ、思う存分使えっ!!」
「おぉ〜〜っ!!」
あまりの喜びの為か、ゴブリンが跳んだ。 身長4mはあるかと思われる巨体が、100kgでは収まりきらぬ超重量の肉体が、跳んだ。
そんな超重量の巨体が跳んだ、跳べば、落ちるしかない。 だがゴブリンは口内に光を集め、着地する寸前に集めた光を解き放った。
ゴブリンの着地地点で起きるは、爆発、次に振動、次に土煙……その煙を突き破って。
――まるで鋼鉄と見間違うかの様な"引き締められた肉体"を持った存在が現れた。 その存在"ゴブリン"は、
棍棒を担ぎ、手当たりしだいに光玉を投げ散らし、ドシンドシンと音を上げて、駆けて行く。
「(ふぅ――悪い癖だな)」
草笛を吹きつつ、カラステングは一人、内心ごちた。 始まりは役に立たぬ者が居る、面倒を見てやってくれとの言葉からだ。
その言葉通り"ゴブリン"は与えられた役割を全く熟せていなかった。 それどころか、のんびりと暮らせる今が楽しいと抜かす始末。
出会って十数分で葬りたい気持ちで満たされたカラステングだったが、始めの言葉を思い出して踏み止まる。
嫌がる"ゴブリン"を無理やり引っ張り出し"木偶"と侮りつつ、カラステングはゴブリンに肉体を操作する技術を叩き込んだ。
当初こそ技術の習得は遅かったが、ある時に"忠誠心"の高さを見せ、その事を餌にすれば真剣に鍛錬に臨み、
カラステングが一時驚く程の成果を見せた。 ――だが。
「("名前"を呼ぶ程度で、張り切るな……叱りを受けるのは俺だと言うのに)」
鍛錬期間の間、侮りの感情を込めて"木偶"と呼び続けた為か、何時からかゴブリンと名前を呼ぶと、
妙なやる気を見せ始める様になった、はっきりとした原因は解らないが、どうにもやり過ぎる為、必要に迫られる時まで、
"木偶"と呼ぶ様にした。 どうにも"懐かれた"様な気がするが、気のせいだろう。
「ん?」
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