過去ログ - 私はお姉ちゃんが
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2014/07/26(土) 04:40:10.41 ID:pMxsY35k0
嫌い

私はゆっくりと起き上がった。ならべく音をたてないように、気配を[ピーーー]ように。こういったことは得意だ。いつもやっているから。
お姉ちゃんをなぶっている猿どもはいじめに夢中で私に気が付いていない。私は静かに手近な椅子を持ち上げそして

「うあああああ!!」

ゴリラの頭に走りこむように叩きつけた。ならべく大きい声で、発狂したように。

「やべろおおおおお!!!」

もう一発。これでゴリラは戦闘不能なはず。あとは演技力の勝負。わめきながら椅子をふりまわし威嚇する。

「ちょっ、なんだよこいつ!あたまおかしいんじゃないの?」

「大丈夫、さや!ねえ!」

私の豹変ぶりに思考がついて行っていないだろう猿三人。なんとか撤退させないといけないな。袋叩きになってしまっては勝ち目はない。

「おねえぢゃんにぢがづくなぁああああ!!」

あえて攻撃はせず逃げ道を残す。腰巾着は完全に及び腰だ。近づいて恐怖心を煽ってやる。

「ひっ、こいつやばいよ!いこ!いこうよ!!」

ゴリラを引きづりながら三匹の猿は撤退していった。ふぅ・・・何とかなるもんだ。椅子をゆっくり床に置く。重かった、もうこういうことは避けたいな。

「お姉ちゃん。お姉ちゃん。大丈夫?」

ぐったりとしたお姉ちゃんを揺さぶる。うめき声を上げながらお姉ちゃんは私を見た。哀れなので涎をハンカチでぬぐってやる。

「あ、あやちゃん・・・?大丈・・・夫?」

この馬鹿は・・・開口早々それか。だから頭の回転がとろいのだ。もう少し利害を考えて行動してほしいものである。

「お姉ちゃんってさ、馬鹿だよね。本当に馬鹿。だいっきらい。」

あれ?私何言ってるんだろ。柄にもないことをやったせいでテンションがおかしくなったみたいだ。頭ではストップをかけているのに口がもうとまらない。

「小さい頃から私の前に出てきてウザったいよ。お姉ちゃんのせいで私はつらいの!お姉ちゃんが私のために動いてくれることは私の重荷なの!もうやめてよ!私を影にしないで!私の前から消えてよ!」

なんと身勝手な思想だろう。口に出すと改めて実感する。まさに逆恨み。低能の中の低能。なんてことはない、私も猿だったということだ。臆病で身勝手な猿だ。嫌気がさす。さあ、お姉ちゃん。私に愛想を尽かしてくれ。もう太陽のそばにいることが辛いんだ。

「ごめんね、あやちゃん・・・そんなことを考えていたんだね・・・辛かったね・・・ごめんね・・・」

お姉ちゃんは私の方に弱弱しく腕を伸ばしてくる。近づくと首に腕を絡めてそのままべしゃりと床に這いつくばった。くすぐられすぎて体力がもうないらしい。哀しくなるくらいぼろぼろだ。

「私、あやちゃんが何を考えてるかよくわからなくて・・・お姉ちゃんとしてあやちゃんを守ってあげようと思ってずっとこれまで色々やってたの・・・でも、迷惑だったんだね、ほんとにごめんね・・・馬鹿なお姉ちゃんで・・・ごめんね・・・」

また泣いてる。人前で泣ける人って本当に羨ましい。私はしゃがみこんでお姉ちゃんを抱きしめた。

「迷惑だったよ。だからもういいんだ。私お姉ちゃんの陰に隠れるのはもうやめるよ。お姉ちゃんの負担にならないようにするから・・・だから・・・」

「もう私のために頑張って傷つくのはやめて。」

私はお姉ちゃんが嫌い。お姉ちゃんは馬鹿だから。馬鹿で私の嫌いなお姉ちゃんに私はずっと憧れてたんだってやっと気が付けたよ。

「ずっとありがとね、お姉ちゃん。」



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